研究実績の概要 |
本研究は神経傷害モデルである実験的自己免疫脊髄炎(EAE)マウスに対する歯髄幹細胞(DPSCs)全身投与の治療効果を検討し,治療効果ならびに神経再生のメカニズムを解明する事を目的とし, ①ヒト抜去歯由来DPSCsをEAEモデルマウスの症状が安定した誘導14日目で尾静脈より全身投与し治療効果を検討した.比較対象としてヒト骨髄由来間葉系幹細胞(BMSCs)を同様の方法で投与した群, PBS投与群,EAE非誘導群を用いた.その結果,尾および下肢の麻痺等の神経行動学的解析ではEAE誘導群で有意に病状の進行が認められ、DPSCs投与群、BMSCs投与群で病状の回復が認められた.さらに、免疫学的解析においてはEAE誘導群で過剰なT細胞の活性を制御する制御性T細胞の有意な低下を認め、炎症性T細胞の一つであるTH17細胞の増加を認めた.DPSCsならびにBMSCs投与群では制御性T細胞の増加およびTH17細胞の低下が認められ、免疫学的にも病状の改善が観察された. ②蛍光標識したヒトDPSCsあるいはBMSCsをEAEモデルマウスに全身投与し、傷害神経部位への集積ならびに神経再生への関与を検討した結果、傷害神経部位へのCFSE陽性細胞は検出する事はできなかった。同時に、傷害部位以外の組織である骨髄へのホーミングも検討したが,CFSE陽性細胞の検出には至らなかった.
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