研究課題
平成26年度は、乳酸菌由来因子Kog1が歯肉上皮細胞や歯肉線維芽細胞に与える影響について、基礎的検討を行った。まず、歯肉上皮細胞様細胞株であるGE1細胞を用いて、Kog1が細胞活性へ与える影響を検討したところ、3200 nM以下のKog1は、無添加のコントロールと比較して細胞活性や形態に変化を与えなかった。このことから、Kog1は歯肉上皮細胞に細胞傷害性を与えない安全なペプチドであることが示唆された。次に、Porphyromonas gingivalis由来LPSを用いて、GE1細胞においてケモカインCCL2 mRNAの発現を誘導し、Kog1がCCL2 mRNA発現に及ぼす影響について解析を行った。その結果、Pg LPSによって誘導されたCCL2 mRNAの発現は、Kog1によって有意に抑制された。また、Kog1の上皮透過性の有無を調べるため、GE1細胞ならびに歯肉由来線維芽細胞hGFB細胞をトランスウェルシステムを用いて培養し、FITCラベルを施したKog1がGE1細胞を透過しhGFB細胞まで到達するかを検討した。結果、コンフルエント状態のGE1細胞培養下では、GE1細胞非培養下に比較してKog1-FITCの蛍光強度は低下したものの、hGFB細胞の細胞質にKog1-FITCを認めた。よって、Kog1は歯肉上皮細胞により輸送もしくは歯肉上皮細胞を透過して、歯肉線維芽細胞まで到達することが明らかとなった。今後、その詳細について検討を加える予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度の検討事項であった、Kog1の歯肉上皮細胞および歯肉線維芽細胞に対する基礎的検討について精査した。この成果は、平成27年度の研究内容に繋がる知見であり、引き続き検討を加える予定である。以上の理由から、平成26年度についてはおおむね計画通りに研究が進展した。
Kog1が歯肉線維芽細胞に与える影響についてエビデンスの集積を行う。
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