研究課題/領域番号 |
26670843
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
藤澤 政紀 明海大学, 歯学部, 教授 (00209040)
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研究分担者 |
猪野 照夫 明海大学, 歯学部, 准教授 (70146215)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エピテーゼ / 顔面計測 / 受動型ステレオ法 / 汎用デジタルカメラ / 色調補正 / ノイズ除去 / STLファイル |
研究実績の概要 |
エピテーゼを製作する際の顔面の形状取得法として,従来の顔面印象法に代わり,様々な空間計測機器を応用した方法が提唱されている.近年,汎用デジタルカメラを用いた空間計測システムが実用化され,主に工業界で幾何的構造物の測量に利用されている.一方で,空間計測能は被写体の色調および表面性状の影響を受けやすいことから,顔面の形状計測においては構築した点群に測定ノイズが生じやすい.また,構築した点群の各節点は三次元の座標値およびRGB値の色データからなるため,STL形式に代表されるポリゴンデータへの変換には法線ベクトルの設定が必要である.ポリゴン変換法では,対象節点および周囲節点の座標値から法線ベクトルの演算を行うため,あらかじめノイズの少ない点群を構築しておく必要がある.そこで,本システムをデジタル顔面形状計測の一方法として応用するに当たり,まず,構築した点群のノイズ除去に関する検討を行った. 顔面石膏模型およびエピテーゼのワックスパターンを被写体とした.視野角,レンズ間距離などの幾何的位置関係が既知の汎用デジタルカメラを用いて撮影した一対のステレオ画像をもとに,空間計測ソフトウェアを用いて三次元点群データを構築した.構築した点群データから,エピポーラ平面上に平行に配列した点群を抽出し,奥行の測定値および以下に示す,画素のRGB値より算出した色データを用いたノイズ補正法を検証した. 色調の明暗を用いたノイズ補正を加えた場合,通常のダウンサンプリングによる平滑化に比べ,被写体の微細な凹凸を残した測定ノイズの除去が可能であったことから,色調による点群の測定ノイズの除去に有効であることが示唆された.今後は再構築した点群のポリゴンデータへの変換を行い,他の空間計測機器を用いて得られたデータとの比較による,空間計測能の評価を経て,本システムの顔面計測法としての応用を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である、汎用型デジタルカメラで得られた顔面画像のノイズ除去法として、ソフトウェアの改良に色調補正を組み合わせることによる効果が得られた。このことにより、今後3Dプリンタ等との組合せにより訪問診療のカテゴリーとして、患者に負担が掛からない顔面補綴製作の臨床応用への可能性が高まったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
顔面画像のノイズ除去に加え、実際のエピテーゼ製作方法の検討、さらには訪問診療における立体顔面画像の応用方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた機器購入が、バージョンアップするとのことから、当該年度の購入を見送った。また、研究成果発表を予定していたが、発表の場として適切な学会開催と研究の進捗に差があり、次年度の発表となった。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた機器購入と成果発表、英文校正等に使用予定。
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