研究実績の概要 |
研究の目的:ショット研磨法をクラウンの研磨に臨床応用した場合の検討を行う. 研究方法:試料は12%Au-Ag-Pd合金および18K金合金を鋳造して作製した.クラウン形状の試料はショット研磨を行い試料とした.なおシリコンポイントを用いた従来の方法で作製した試料をコントロールにした.これらの試料の研磨状態を本学の5名の歯科医はVisual Analog Scaleを使って評価した.統計分析にはKruskal-Wallis(P<.05)を使用した.また鋳造した12%Au-Ag-Pdのクラウンの研磨時間を,ショット研磨機を用いた方法と従来の方法とで比較した.さらに,鋳造したクラウンのマージン部のような鋭利な部分を想定した板状の試料を作製し,その辺縁部形態変形量を検討した.その板状の試料は,18K歯科鋳造金合金を鋳造して作製した.2種類の異なる表面性状の試料を作製した.1つ目は,30秒の間サンドブラストで研磨したタイプで,2つめはサンドブラストで処理した後,1分間ショット研磨機で研磨したタイプである.辺縁部短縮変形量は,基準線とエッジの距離を測定して検討した.各々のタイプの試料数は5個ずつとした. 辺縁部形態変形量は,顕微鏡ECLIPSEで観察した.測定したデータは,Student's t-test(P<.05)で統計分析した. 結果:ショット研磨は,目視による観察で小窩裂溝を含むクラウンの研磨に有用で,全ての試料間に有意な差は認められなかった.従来の研磨方法は32分必要であるが,ショット研磨は2分以内という短い時間で従来の方法と差のない研磨を行うことができた.辺縁部形態変形については,サンドブラストを行った試料とサンドブラスト後にショット研磨を行った試料間で,有意差は認められなかった.なお,このショット研磨によりクラウンのマージン部を想定した辺縁部分は,丸くなる傾向が認められた.
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