研究課題
生体外における三次元細胞組織体構築は、組織再生工学における最重要課題のひとつである。しかし、通常細胞を生体外で100マイクロメートル以上の厚みに積層すると内部への酸素供給が不足し、組織体内部で壊死が起こることが問題点である。本研究は独自開発した酸素透過性培養器を基盤とし、細胞組織体中の壊死抑制と細胞・リン酸カルシウム材料複合体の作製を行うことを目的とした。すなわち、生体外で「活きが良く、骨再生材料と複合化された細胞組織体」を構築する技術を提案し、骨再生治療へと応用を図った。当該培養器を用いることで肝がん細胞の場合直径600マイクロメートルの細胞塊の細胞塊においても壊死がほとんど起こらないことを見いだしている。最終年度は、酸素透過性培養器に間葉系幹細胞(MSC)を播種し、ここに種々のリン酸カルシウム材料を加えることで細胞・リン酸カルシウム材料複合組織体を作製し、その細胞分化に与える影響について検討した。リン酸カルシウム材料は細胞に近い大きさ(50マイクロメートル)に整粒して用いた。この結果、リン酸カルシウム材料を複合化することでMSCの骨芽細胞分化が大幅に促進することをお見いだした。さらに、in vivo移植実験のためにこの複合組織体をさらに凝集させ、骨欠損領域と同じ大きさになるようにディスク化するための培養デバイスを作製し、直径4ミリメートルのディスク状複合組織体を作製した。このディスク状複合組織体をマウス頭蓋冠に作製した規格化骨欠損に移植することで骨再生が起こることを確かめることができた。これらの結果より、本研究で開発した酸素透過性培養器による細胞・リン酸カルシウム複合組織体の骨再生治療における優位性を確認することができた。
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http://www.cfe.dent.tohoku.ac.jp/