自家骨髄由来単核球を用いた人工神経管による顎・顔面領域での神経再生研究

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26670864
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 茂野 啓示 京都大学, 再生医科学研究所, 非常勤講師 (00162587)
• 研究分担者: 中村 達雄 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (70227908)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 人工神経管 / PGAコラーゲンチューブ / 神経再生 / 難治性神経因性疼痛 / 自己骨髄由来単核球 / 知覚神経 / 運動神経 / 混合神経

研究実績の概要

我々の研究において、これまで再生が困難とされてきた、顎、顔面領域の運動及び知覚神経である,三叉神経に対し、新規に開発した人工神経管(合成高分子とコラーゲン複合材料：P.G.A.コラーゲンチューブ）によりIn Situ Tissue Engineeringの手法を用い,大型動物(イヌ)を使った動物実験で良好な神経再生を証明してきた。
またこれまで、顎、顔面領域で下顎智歯抜歯時や歯科用インプラント埋入時、顎骨腫瘍摘出時などの際、当該三叉神経損傷が原因となり発症していた神経因性疼痛(特に難治性疼痛：C.R.P.S.）や運動障害に対し我々の開発した人工神経管(合成高分子とコラーゲン複合材料：P.G.A.コラーゲンチューブ）に、自己骨髄由来単核球（B.M.C.）を検体より採取後、直ぐに含侵、内包させ、これを神経損傷部と置換し、より早く,緻密な運動、知覚神経さらに,混合神経再生を生来させ、早期の神経損傷治癒として用いることを試み、ひいては出来るだけ早期に、一般臨床に用いることを目的としして本実験を行ってきた。
現在、自己骨髄由来単核球(B.M.C.)を採取し培養増殖を行いそれを神経損傷部位に散布する手法により、一定の臨床成果が上がることが報告されている。この手法では自己由来の細胞を培養増殖して用いるので、安全ではあるがその手技の難易度が高いことと期間的な問題もある。そこで我々は自己骨髄由来単核球(B.M.C.)を検体より採取後直ぐに人工神経管(合成高分子とコラーゲン複合材料：P.G.A.コラーゲンチューブ）にそれを含侵させより安全で簡便に用いる神経再生手法を確立させた。

研究成果

• [雑誌論文] The efficacy of a novel collagen-gelatin scaffold with basic fibroblast growth factor for the treatment of vocal fold scar. (2016)
  • 著者名/発表者名: Hiwatashi, N., Hirano, S., Mizuta, M., Kobayashi, T., Kawai, Y., Kanemaru, SI., Nakamura, T., Ito, J., Kawai, K., Suzuki, S.
  • 雑誌名: J Tissue Eng Regen Med. 巻: in press ページ: in press
  • DOI: 10.1002/term.2060.
  • 査読あり
• [雑誌論文] 人工神経． (2015)
  • 著者名/発表者名: 中村達雄
  • 雑誌名: 人工臓器 巻: 44 ページ: 164-168
• [雑誌論文] A successful attempt to prevent postoperative adhesions between the mediastinum and a lung: a canine model. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hamaji, M., Nakamura, T.
  • 雑誌名: Gen Thorac Cardiovasc Surg. 巻: 63 ページ: 483-4
  • DOI: 10.1007/s11748-015-0563-6.
  • 査読あり
• [雑誌論文] A rigid and bioabsorbable material for anterior chest wall reconstruction in a canine model. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hamaji, M., Kojima, F., Koyasu, S., Nobashi, T., Tsuruyama, T., Date, H., Nakamura, T.
  • 雑誌名: Interact Cardiovasc Thorac Surg. 巻: 20 ページ: 322-8
  • DOI: 10.1093/icvts/ivu416.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Autologous bone marrow mononuclear cell transplant and surgical decompression in a dog with chronic spinal cord injury. (2015)
  • 著者名/発表者名: Tamura, K., Harada, Y., Kunimi, M., Takemitsu, H., Hara, Y., Nakamura, T., Tagawa, M.
  • 雑誌名: Exp Clin Transplant. 巻: 13 ページ: 100-5
  • DOI: 10.6002/ect.2013.0237.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Mechanical properties of a bioabsorbable nerve guide tube for long nerve defects. (2015)
  • 著者名/発表者名: Ichihara, S., Facca, S., Liverneaux, P., Inada, Y., Takigawa, T., Kaneko, K., Nakamura, T
  • 雑誌名: Chir Main. 巻: 34 ページ: 186-192
  • DOI: 10.1016/j.main.2015.05.004.
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] 三叉神経障害に対するPGA-C tubeによる生体内再生治療の高分解能神経MRIを用いた予後評価． (2015)
  • 著者名/発表者名: 照光 真、瀬尾憲司、松澤 等、稲田有史、中村達雄、茂野啓示、渡辺将樹、鈴木清隆、中田 力
  • 雑誌名: Peripheral Nerve 巻: 26 ページ: 71-79
• [雑誌論文] Comparison of a hydroxyapatite-coated and an anodic oxidized titanium implant for experimentally induced peri-implantitis: Macroscopic and novel radiographic evaluations in a canine model. (2015)
  • 著者名/発表者名: Nakamura, H., Matsuno, T., Hashimoto, Y., Nakamura, T., Mataga, I.
  • 雑誌名: Jouranal of Hard Tissue Biology 巻: 24 ページ: 247-256
  • DOI: org/10.2485/jhtb.24.347
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] 末梢神経の再生医療とin situ Tissue Engineering（生体内再生）． (2015)
  • 著者名/発表者名: 中村達雄
  • 学会等名: 第37回日本バイオマテリアル学会大会
  • 発表場所: 京都
  • 年月日: 2015-10-09 – 2015-10-10
• [図書] 複合性局所疼痛症候群(CRP)をもっと知ろうー病態・診断・治療から後遺障害診断まで― (2015)
  • 著者名/発表者名: 稲田有史、諸井慶七朗、中村達雄、森本 茂
  • 総ページ数: 129
  • 出版者: 株式会社 全日本病院出版会
• [図書] 臨床に役立つ神経障害性痛の理解 (2015)
  • 著者名/発表者名: 稲田有史、中村達雄
  • 総ページ数: 300
  • 出版者: 株式会社 文光堂
• [備考] 京都大学再生医科学研究所 臓器再建応用分野 ホームページ
  • URL: http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/ca04/