研究課題
1. 加齢における口腔内真菌叢の変化:健常者66名を対象に、各年代別(20歳代、30歳代、40歳代、50歳代以上)に分けて含嗽液中の口腔内真菌叢の解析を行った。一人あたりの総真菌量およびNGSによる一人あたりの平均検出真菌種数は、年齢と正の相関を示した。真菌叢の構成比はどの年代もC. albicansが最も多くの割合を占めたが、加齢とともにC. albicansの占める割合は減少した。2. 口腔カンジダ症患者と健常者の口腔内真菌叢における比較検討:急性偽膜性口腔カンジダ症(POC)患者27名と健常者のうち年齢を合わせるため40歳代以上の29名を対象にした。含嗽液中の口腔内真菌叢を解析した。患者群は健常者群よりも総真菌量は有意に多く、NGSによる一人あたりの検出菌種数は、患者群が11.6±8.2種、健常者群が14.0±3.5種であり、患者群が少なかった。また、真菌叢の構成比では患者群の方がC. dubliniensisの占める割合が高かった。3. 口腔カンジダ症患者の治療前後における口腔内真菌叢の比較検討:POC患者のうち、抗真菌薬投与前後の含嗽液検体を採取できた15例を対象に口腔内の真菌叢の変化について検討を行った。治療後は治療前に比べ一人あたりの総真菌量は有意に減少し、一人あたりの検出真菌種数は増加していた。真菌叢の構成は、治療することによりnon-C. albicans、特にC. dubliniensisの割合が著明に減少していた。本研究の結果から、加齢や口腔カンジダ症の発症によって特定の真菌種が過剰に増殖すると、その他の真菌種が相対的に減少したことが原因と推察されることから、口腔カンジダ症の発症にはC. dubliniensis および特定のnon-C. albicansが関与していることが示唆された。
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Sci Rep
巻: 6 ページ: 28110
10.1038/srep28110