研究課題/領域番号 |
26670869
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 誠司 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
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研究分担者 |
森山 雅文 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20452774)
林田 淳之介 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80432920)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | IgG4関連疾患 |
研究実績の概要 |
【目的】IgG4関連疾患(IgG4-RD)の診断には、病変局所の組織生検が重要であるが、膵臓や腎臓などの深部組織では施行が困難であり、確定診断に苦慮することも少なくない。本研究では、採取がより容易で侵襲が少ない口唇腺生検を施行し、その診断能について検討を行った。 【方法】高IgG4血症や臨床所見によりIgG4-RDを疑い、当科にて口唇腺生検を施行した64例(最終診断:IgG4-RD 44例、シェーグレン症候群(SS)10例、SS疑い 5例、悪性リンパ腫 2例、SLE 1例、ワルチン腫瘍 1例)を対象とした。 【結果】口唇腺生検の感度、特異度、正診率はそれぞれ、55.6%、100%、68.8%であった。さらに、大唾液腺病変の有無で比較すると、唾液腺病変を認めない(組織生検が困難な)症例では、口唇腺生検の感度が有意に低かったが、口唇腺生検で陽性となった症例は陰性となった症例に比べ、血清IgG4値や罹患臓器数が有意に高かった。 【考察】IgG4-RDにおける口唇腺生検は診断基準を満たす症例が少なく、口唇腺生検による診断は困難であると考えられる。その一方で特異度は高く、他の疾患群と比較してIgG4陽性形質細胞数とIgG4/IgG比はともに有意に高値であったことから、罹患臓器の生検が困難な症例でも血清IgG4値や罹患臓器数などの臨床所見を組み合わせることにより、口唇腺生検はIgG4-RDの診断の一助になる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IgG4関連疾患における口唇腺の有用性については不明であったが、本研究によってその有用性が明らかになり、その研究成果は国際リウマチ学雑誌であるMordern Rheumatologyに掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は組織のDNAマイクロアレイを行って可溶性の疾患関連分子を特定し、唾液におけるこれらの分子の濃度を測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が順調に進み、予想より物品費がかからなかったため、少額の余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
唾液検査用の試薬は高額なため、余剰分は今年度の物品費に充当する。
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