研究課題/領域番号 |
26670875
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
加藤 晃一郎 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30719373)
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研究分担者 |
上田 善道 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50271375)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 |
研究実績の概要 |
活性脂質 sphingolipidに着目した口腔原発扁平上皮癌の浸潤・転移に対する新たな制御法の確立を目指し,本年度は口腔原発扁平上皮癌浸潤先進部におけるsphingosin系の細胞増殖とepithelial mesenchymal transition (EMT)への関与に関し、外科的切除された口腔原発扁平上皮癌94組織と高度・軽度異形成組織 13例を用い検討し、以下の成績を得た。 1.扁平上皮異形成部ならびに扁平上皮癌膨張性発育部では、sphingosin kinase 1(SpK-1)の発現が陰性~弱陽性なのに対して、浸潤性扁平上皮癌の浸潤先進部に一致してSpK-1の発現亢進を認めた。2.浸潤様式 YKⅠ~ⅣDまで系統的に検討した結果、特にYK-ⅣCでは索状に浸潤する腫瘍細胞に一致して強いSK1の発現を認め、YK-ⅣDでは浸潤性発育する個々の細胞全体に強い SK1の発現が認められた。3.浸潤性格の強い口腔原発扁平上皮癌浸潤先進部の反応性間質細胞にも時に SpK-1の発現が亢進していた。4.口腔原発扁平上皮癌浸潤部における SpK-1の発現は腫瘍細胞の分化度や Ki67標識率とは相関せず、E-cadhelinの喪失と vimentin発現と有意な関連を認めた。 以上の所見から、口腔原発扁平上皮癌浸潤先進部では SpK-1の発現誘導を介した sphingosin-1-phosphate (S1P)の産生が腫瘍細胞の EMTに深く関わっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔扁平上皮癌の浸潤様式につき活性型スフィンゴ脂質としてスフィンゴシン1リン酸の産生に関わる sphingosin kinase 1(SpK-1)に関し腫瘍浸潤先進部での発現を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に得られた結果からsphingosin kinase 1(SpK-1)は口腔扁平上皮癌細胞の腫瘍浸潤先進部での発現とEpithelial-Mesenchymal Transition (EMT)との関連性が示唆された。今後は細胞移動・浸潤能亢進の関わりをin vitroあるいは実験モデル動物系を用いて検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現有の研究試薬を一部使用した結果,12,082円の次年度使用額が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
研究結果の再現性確認のため反復実験を計画しており,検証に関する備品,薬品について当該年度の交付決定額に加えて,次年度使用額を使用する.
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