研究課題/領域番号 |
26670878
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西出 真也 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40451398)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯髄炎 / 蛍光イメージング / 概日リズム |
研究実績の概要 |
ホルモンや唾液分泌、免疫など多くの生理機能には約24時間周期の概日リズムが存在する。近年の研究により炎症反応にも概日リズムがみられることが示され、歯髄炎など口腔領域の炎症にもリズムがあることが予想される。本研究の目的は歯髄組織における炎症応答分子MAPKのリズムを分子間の相互作用を検出できる蛍光イメージングであるFRETシステムを用いて明らかにすることである。 これまでに時計遺伝子Rev-erbα発現を蛍光タンパク質でモニターするバイオセンサーを用いてNIH-3T3細胞のサーカディアンリズムを計測することに成功した。Rev-erbαは生体内で昼に発現する遺伝子であるため、このセンサーは細胞内の時刻情報を得る「時計の針」として利用することができる。次に、二量体を形成することによりRev-erbαを周期的に転写促進するBMAL1およびCLOCKにそれぞれ蛍光タンパク質を結合し、両者が近接したときにFRETが起こるように設計したバイオセンサーを新規作成した。またMAPKファミリー分子であるERK1, JNK1の活性化ドメイン配列を改良型FRETシステムに組み替えたバイオセンサーを作製した。このセンサーによりMAPK活性を高感度で検出できる。 細胞内のMAPKリズム測定に必要な蛍光バイオセンサーが完成したため、今後MAPK活性化リズムを解析する予定である。これまでの研究成果を平成27年日本生理学会大会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蛍光バイオセンサーによる細胞の概日リズム測定システム、およびFRETシステムを既に構築し、MAPK活性を検出するバイオセンサーもすでに作成した。今後MAPK活性リズムの測定を行う予定であり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
まずNIH3T3等の哺乳類線維芽細胞由来の細胞株を用いてMAPK活性リズムを解析する。24時間周期の活性変化を連続測定するための条件の最適化を行う。次にマウス・ラット歯髄細胞の初代培養にバイオセンサーを導入しリズムの測定を行う。またこれらの細胞に対し、歯髄処置に使用される薬剤などを作用させリズムの変化を観察する。同時に北海道大学病院・自主臨床研究審査委員会に臨床研究の申請を行い、患者さんの抜去乳歯由来の歯髄細胞の培養およびリズム解析を開始する。 培養細胞、動物を用いた実験は秋ごろまで、抜去乳歯の実験を年内に終了させ論文を執筆する。また国内外の学会にて研究成果を随時発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は概ね予定通りに進展しており、次年度も当初の計画通り実施する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に引き続き細胞培養、遺伝子組み換え、イメージングに必要な試薬、抗体や消耗品類が必要である。動物実験を計画しているため、動物実験施設の使用料や動物の維持費を計画している。また、日本小児歯科学会(5月、広島)、日本歯科基礎医学会(9月、新潟)、日本時間生物学会(11月、東京)にて発表を予定しているため出張旅費が必要である。
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