研究課題/領域番号 |
26670879
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 隆昭 北海道大学, 大学病院, 講師 (40230560)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯科矯正治療 / 矯正力 / アクチュエーター / 人工筋肉 |
研究実績の概要 |
歯科矯正治療においては、歯にどのような力(矯正力)を加えるかが重要である。矯正力の作用様式として、①持続的な力②間欠的な力③断続的な力の3種類がある。現在、一般に歯科矯正治療に用いられている金属線や弾性高分子材料は、持続的な力を用いるのに適しているが、間欠的な力や断続的な力を発揮させるのは困難である。一方、動物実験から歯の移動には、間欠的な力や断続的な力が効果的との報告がある。近年、様々な分野で応用されており、電気的に伸縮をコントロールすることができるアクチュエーター(人工筋肉)間欠的な力や断続的な力を発揮することのできる新たな材料としての使用方法を検討する目的で実験を行っている。 人工筋肉材料が、どの様な張力を発生するかを検討するための実験準備として、それぞれの材料(形状記憶合金アクチュエーター、導電性高分子アクチュエーター)について、電気信号を印可した時にどのような張力を発生するかをフォースゲージを用いて計測するが、このための、計測機器の準備を行い、使用方法について確認を行った。また、それぞれの材料には、張力を発生させるために電気信号を印可する必要があるが、この電気信号を発生させる機器について今回の実験に合わせて電気信号の条件(電圧、周波数など)を変更出来るように作製した。これにより、実験材料に印可する電気信号を、実験条件に合わせて調整できることを確認した。 これらの機器を使用して、計測を行ったが、想定している張力を発生させるための条件がまだ確定できていないので現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
購入を予定していた導電性高分子アクチュエーター、イオン電動アクチュエーターが製造中止となったため、代替えの材料を購入し、材料に合わせた実験機器の準備を行った。この実験機器を用いて計測を行ったが、想定していた張力を発生させるための条件について確定できなかった。このため全体として研究が遅滞することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に引き続き準備した機器を用いてそれぞれのアクチュエーターについて、電気信号を印可した時にどのような張力を発生するかをフォースゲージを用いて計測する。印可する電気信号の条件(電圧、周波数など)を変更し、発生する張力がどの様に変化するかを検討し、人工筋肉の発生する張力をコントロールするために必要な条件を明らかにする。 この結果に基づき、矯正歯科治療にどの様に適応できるかを検討するために、張力の持続性、材料の耐久性について検討する。このための実験として、①人工筋肉に張力が発生するように電気信号を印可し続けた時に、その発生する張力がどの様に変化するかを計測する。②電気信号の条件(電圧、周波数など)による張力の変化を計測する。この実験結果から、実際に治療に使用する際の条件を明らかにし、実用化に向けての検討を行う。イオン電動アクチュエーターについては、材料が折れ曲がるように変形することで、力を発生するため、折れ曲がり方向への変化を、牽引する方向へ変換するための装置を考案して実験を行う。 実際の治療に際しては、口腔内で使用されるため、口腔内での使用を想定した実験を行う必要がある。そのためまず最初に浸潤状態下で、大気中で行った実験結果と同様の性質を発揮できるかどうかを検討するために以下の実験を行う。①材料全体を37℃に設定された生理食塩水に浸積し、大気中で行った実験結果を基に設定された条件で電気信号を印可する。この際に発生する張力を計測する。②人工筋肉に張力が発生するように電気信号を印可し続けた時に、その発生する張力がどの様に変化するかを計測する。③電気信号の条件(電圧、周波数など)による張力の変化を計測する。以上から、浸潤状態での使用を想定した条件を明らかにする。この際には、シールド方法についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していたイオン電動アクチュエーターが生産中止となって購入できず、代替えの材料を購入し、材料に合わせた実験機器の準備を行った。この材料の購入費が予定より安価で購入できたのでこれに係わる経費が次年度使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度交付額と合わせて、物品費(イオン電動アクチュエーター、導電性高分子アクチュエーター、形状記憶合金アクチュエーター、LSI、IC、,抵抗、コンデンサ、基板シャーシ、資料整理用ファイルなど)に、713千円、旅費(調査・研究旅費)として150千円、人、件費・謝金(研究補助)として70千円、その他(研究成果投稿料など)として50千円使用する予定である。
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