研究課題
進行性下顎頭吸収(Progressive Condylar Resorption; PCR)では、下顎頭の変形および吸収が継時的に変化する事で下顎後退・前歯部開咬を生じ、顔貌の変化やQOLの低下を呈する。PCRは女性に多く、エストロゲン欠乏症の併発が散見され、性ホルモンの関与が強く示唆されている。また一方で外傷やメカニカルストレス等の外的因子の関与も指摘されており、多因子疾患様の病態を示すPCRの病態解明が必要とされている。本研究は分子生物学的手法を用い、顎関節を構成する硬組織に着目し、ホルモンや外的刺激に対する組織学的変化ならびに遺伝子発現変化の検討を行うことを目的としている。我々は、骨においてメカニカルストレス応答機能を持つ骨細胞に着目し、細胞骨格を司るProfilin1の機能を解析した。Profilin1は骨細胞様株であるMLO-Y4において樹状突起形成および細胞遊走に必要である事が示唆された。さらに、Cre/Loxpシステムを用い、骨細胞特異的にProfilin1をノックアウトしたマウスでは骨量の減少を呈した。以上の結果から、Profilin1は骨構造維持に必須の遺伝子である事が示された。また、数種類のPCRのモデル動物作成を試み、顎関節部のマイクロCT撮影を行い、表現型解析を行った。今後組織化学的解析ならびに分子メカニズム解析を進める事で、他因子疾患様の発症を示すPCRの病態解明に寄与するものと思われる。
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