研究課題
マウス由来のfeeder細胞は目的の細胞に栄養を供給し、細胞が増殖するための足場を提供するなど有益な効果を示すことが明らかとなっている。さらに我々は、マウスfeeder細胞は乳歯歯髄由来の初代培養細胞の増殖を促進し、初代培養時混在した口腔内常在細菌を浄化することを明らかとした。iPS細胞では、その樹立時にfeeder細胞を必要とする。マトリゲルなどを使用した手法で、feeder細胞なしでiPS細胞を樹立することが可能であるが、試薬が高価であることが難点である。iPS細胞の臨床応用を考えた場合、マウス由来feeder細胞の混入のないxeno-freeな環境下でのiPS細胞の樹立は非常に重要である。本研究では、新たな機能を付加したヒト組換えfeeder細胞を開発し、ヒトiPS細胞の培養維持や樹立に有効であるかどうかを検討した。研究成果としては、トランスポゾン系ベクターを用いることで、ヒト乳歯歯髄細胞へ安定的な遺伝子導入が可能であることを明らかにした。さらに、成長因子、細胞間接着分子、蛍光タンパクをコードする遺伝子をトランスポゾン系ベクターにより構築し、ヒト乳歯歯髄への遺伝子導入を行った。それぞれのベクターについて、良好な導入効率を示した。また、RT-PCRによる特性を解析し、目的遺伝子の発現を認めた。この樹立細胞をMitomycin Cにて4時間処理し、feeder細胞としての機能を確認したところ、乳歯歯髄細胞から樹立したiPS細胞の培養維持が可能であったが、このfeeder細胞上でのiPS細胞の樹立は困難であった。初代培養細胞の継代数や培養条件などの乳歯歯髄細胞の品質による影響が考えられた。また、これらのfeeder細胞は、分化誘導時にも付加的な役割を担うことが予想されるために、今後は、乳歯歯髄幹細胞の多能性に関する研究や、胚を越えた分化誘導に応用する予定である。
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Archives of Oral Biology
巻: 印刷中 ページ: -
Stem Cell Investigation
巻: 3 ページ: 78
doi: 10.21037/sci.2016.11.05
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/pedo/pedo.html