1)マウス実験的歯周炎モデルにおける解析: in vivoスクリーニング系を構築するために、マウスにおけるFGF-2局所投与のタイミングと濃度を決定することを目的として、絹糸結紮による実験的歯周炎を惹起し、同歯周炎部にリコンビナントFGF-2を局所投与した。すなわち、マウスの上顎第2大臼歯へ絹糸を結紮した。14日間の留位後、絹糸を除去し、局所の急性炎症の消退を図るために、除去後、2日あるいは3日経過した後に様々な濃度もリコンビナントFGF-2を歯周炎局所にマイクロインジェクションした。絹糸結紮から21日目に同マウスにおける歯槽骨の再生量を、マイクロCTにより解析した。その結果、絹糸除去から局所投与まで2日あるいは3日の間隔をあけることで、FGF-2投与が局所炎症を増悪させることは回避されることが示唆された。また、歯槽骨再生には、濃度0.05%のFGF-2が適性であることが示唆された。 2)in vitroスクリーニング系の確立: FGF-2と結合能を有するPLAP-1分子を利用して、PLAP-1を欠損した胎児由来線維芽細胞(PLAP-1KO MEFs)および同分子を発現している野生型MEF(WT MEFs)に対して、標識されたリコンビナントFGF-2を作用させ、細胞表面上に結合するFGF-2量をフローサイトメーターにて定量化することで、FGF-2作用因子のスクリーニング実験系の構築を試みた。その結果、細胞表面に結合するFGF-2量は、WT MEFsと比較して、PLAP-1KO MEFsでは、低下していることが明らかとなり、様々なタンパク・分子にて前処理したMEFs細胞を用いて、標識FGF-2の同細胞表面への結合量を比較検討することで、FGF-2制御因子のスクリーニング系が構築できる可能性が示唆された。
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