研究課題
光により励起される光触媒の酸化還元力や超親水性の発現などを医学や医療に関連する周辺領域への応用の可能性を探り、実用化を検討することは光機能材料の持つ能力を有効に引出し、安全で豊かな環境の創造に役立つ重要な研究と考えられている。そこで、本研究は光ファイバーへの光触媒のコーティング技術を確立し、安全で耐久性に優れた光触媒膜光ファイバー材料を用いて、口腔内バイオフィルムと光触媒の相互作用による活性種の生成とその同定を行うことによって、光触媒を用いたバイオフィルム処理のメカニズムを明らかにする。さらに、本材料を利用して、口腔内バイオフィルム抑制デバイスを作製し、実用化に向けての実証を目的とする。H26年は、本研究室開発したAg/Ag3PO4-TiO2新規光触媒材料を用いて、XRD, SEM,TEM,EDS XPS,PLなど新規材料解析に欠かさない手法を駆使し、材料の特性解析を行った。その結果、開発したAg/Ag3PO4-TiO2 新規光触媒材料は、従来の材料に比べ格段に高い光触媒活性を持つ原因が明らかになった。このような組み合わせにより、TiO2本来持つ長所を伸ばしたうえ短所を克服し、安定かつ耐久性のある高い光活性を持つことが可能になった。また、材料への最適コーティング条件を検討することによって、400℃、2時間焼結と三層塗膜が最も良い条件であることが明らかになった。さらに、その材料の反応機構を検討した結果、正孔(h+)の他、スーパーオキサイドアニオン(・O2-)、ヒドロキシラジカル(・OH)を発生した酸化還元反応が処理のメカニズムであることが解明された。
2: おおむね順調に進展している
H26年は、本研究室開発したAg/Ag3PO4-TiO2新規光触媒材料を用いて材料の特性解析を行い、開発した材料は従来の材料に比べ格段に高い光触媒活性を持つ原因が明らかになった。また、材料への最適コーティング条件を検討することによって、安定かつ耐久性のある高い光活性を持つ材料の実現が可能になった。それは次年度のソフト材料へコーティング条件の検討・実施に参考となる。さらに、その材料の反応機構の解析により、処理のメカニズムも明らかになった。
26年度に得られた新規光触媒材料の特性解明と膜のコーティング条件の最適効果に関する知見を基に、シリコン光ファイバーを担体として光触媒膜をコーティングする方法を探索する。また、細胞を用いて、光触媒膜をコーティングしたシリコン光ファイバーの医用材料毒性試験をについて評価する。口腔内から採集したバイオフィルムを培養し、人工歯型を用いて、開発した材料によるバイオフィルム抑制効果を検証する。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) 産業財産権 (1件)
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