研究課題
光により励起される光触媒の酸化還元力や超親水性の発現などを医学や医療に関連する周辺領域への応用の可能性を探り、実用化を検討することは光機能材料の持つ能力を有効に引出し、安全で豊かな環境の創造に役立つ重要な研究と考えられている。そこで、本研究では安全で耐久性に優れた光触媒膜の製作、またそれを用いて口腔内バイオフィルムと光触媒の相互作用によるバイオフィルム生成の抑制効果の検討及び活性種の生成とその同定を行うことによって、光触媒を用いたバイオフィルム処理のメカニズムを明らかにする。さらに、本材料を利用して、口腔内バイオフィルム抑制デバイスを作製し、実用化に向けての実証を目的とする。本研究室が開発したP/Ag2O/Ag/Ag3PO4/TiO2新規光触媒材料をもとに、耐久性が優れているPEG修飾したP/Ag2O/Ag/Ag3PO4-TiO2新規光触媒材料を開発した。その新規光触媒材料は、最適割合条件で従来の材料に比べ高い光触媒活性と耐久性を持つことが確認できた。H28年度は、前年度開発したP/Ag2O/Ag/Ag3PO4/TiO2光触媒材料をもとに、さらに光活性の高いAg/Ag2O/BiPO4/Bi2WO6新規光触媒材料を開発した。本材料を用いて殺菌効果を検討し、108CFU/mlの大腸菌が30分以内で完全死滅したとの大変優れた結果が得られた。さらに、材料への最適コーティング条件と反応機構を解明したことによって、デバイスの作成試みた。口腔内から採集したバイオフィルムの培養を行い、人工歯型を用いて、開発した材料によるバイオフィルム抑制効果を検討した結果、十分な殺菌効果があることが明らかになった。今後の実用化に向け貴重な情報を得られた。この一年間の研究成果は国際誌4本登載、特許1本、国際学会9件、国内学会9件の実績が得られた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 9件、 招待講演 2件) 産業財産権 (1件)
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