骨の分解を行う破骨細胞の成熟過程には、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の発現減少が必須である。すなわち、HO-1を発現誘導する抗酸化物を投与すると、破骨細胞の成熟・活性化を抑制できる事が考えられる。効率的にHO-1を誘導できる抗酸化物として、食物に含まれるポリフェノールが知られているが、未同定の物質が多く残されている。 本研究では、破骨細胞を抑制できるポリフェノールを迅速かつ簡便に検出できるシステムを構築する。同定されたポリフェノールに関して、骨吸収抑制メカニズムをさらに詳細に解明する。これらの結果を応用して、骨吸収を抑制するサプリメントや天然で副作用の少ない薬物の開発を試みる。 本年度はマウス・マクロファージ由来のRAW-D細胞にマウス由来HO-1遺伝子のプロモーター領域を含むHO-1遺伝子に蛍光タンパク質のGFPを融合させたハイブリッド遺伝子プラスミドとして構築した。HO-1誘導効果があれば、GFPにより緑色蛍光を発するため、“光る細胞として”が同定できることが分かった。この細胞を用いて、代表的なポリフェノールの効果測定を実施した。詳細な解析結果は今後発表する予定である。
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