研究課題/領域番号 |
26670908
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
石川 博 日本歯科大学, 生命歯学部, その他 (30089784)
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研究分担者 |
中原 貴 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (10366768)
川上 未有希 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40707981)
豊村 順子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (80645630)
大山 晃弘 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (90538232)
富永 徳子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (90546532)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 唾液腺再生 / 歯肉上皮幹細胞 / 誘導分化 / 唾液腺線維芽細胞 / 介在部 / 上皮間葉共培養 / コラーゲンスポンジ / 移植 |
研究実績の概要 |
ヒトの抜去歯をヨードを用いて殺菌し、付着している歯肉をはさみを用いてなるべく大きく採取した。採取した歯肉を培養液(GM:DMEM/F12+15%FBS)にdispaseを添加した液で37℃に加温処理し、上皮組織と間葉組織を実態顕微鏡下に分離した。その上皮組織をさらに酵素処理した後、GMにて分散培養を行った。増殖した上皮細胞から上皮幹細胞を分離培養し、FGF-2添加GMを用いて未分化状態を維持したままで増殖を図った。幹細胞の唾液腺細胞への分化誘導には、まずFGF-2をはずし、我々が開発したヒト唾液腺由来の線維芽細胞をfeederとして用いる方法(Kawakami M, et al. Human Cell 26(2),80-90,2013;Kawakami M.et al. Cell Biochem and Function, submitted)を採用した。分化誘導にはconditioned medium(CM)法と共培養法を用いた。CM法では三次元的な唾液腺様構造物を構築できなかったので、足場としてcollagen spongeを使用した。共培養法がより効率よく足場なしに唾液腺上皮を分化誘導することが判明した。共培養法で長期間培養すると三次元構築した唾液腺を得ることができた。この唾液腺様終末部内には唾液腺由来のアミラーゼが存在していたことから目的の唾液腺が再生できたと判断した。次に三次元構築した唾液腺の終末部には細い管が付着し、これが順次太くなっている。この構造は唾液腺の介在部と線条部に相当すると考えられた。そこでこの介在部を実態顕微鏡下に採取し、共培養すると三次元的な唾液腺を再生した。次にこの分離介在部をヌードラットの口腔粘膜下に移植したところ、人の細胞(ヒト特異的ミトコンドリア抗体を用いて染色し確認)から成る小唾液腺の再生が確認できた。現在、この再生唾液腺がヒト特異的な唾液を産生しているかを検討している。また、介在部様小管から三次元的な唾液腺がどのように再生されるかをビデオ撮影している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上皮間葉相互作用を利用して、歯肉上皮幹細胞を唾液腺由来線維芽細胞をfeeder cellとして用いて唾液腺上皮細胞に分化誘導することに成功した。また(1)三次元構築させた唾液腺がin vitroで唾液腺由来のアミラーゼを産生していることが判明した。(2)三次元構築した再生唾液腺の介在部から培養下に唾液腺終末部が形成されることがわかった。(3)この介在部を口腔粘膜下に移植すると小唾液腺が再生された。しかし、血清の値上がりが著しかったため、当初の計画のN 数を縮小せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに、(1)三次元構築させた唾液腺がin vitroで唾液腺由来のアミラーゼを産生していることが判明した。(2)三次元構築した再生唾液腺の介在部から培養下に唾液腺終末部が形成されることがわかった。(3)この介在部を口腔粘膜下に移植すると小唾液腺が再生された。今年度は、(1)粘膜下に移植再生させた小唾液腺が機能を持っているか否かを明らかにする。また(2)機能不全に陥った唾液腺(放射線照射により作成予定)に再生させた三次元唾液腺から採取した介在部を多数移植して機能不全が改善されるか否かを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養液に使用する血清のさらなる値上がりが心配であったため、実験のN数を減らし、研究費の使用を減らしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額で血清を購入し、N数を増やしたい。
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