研究課題/領域番号 |
26670912
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中村 美香 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (10644560)
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研究分担者 |
岩永 喜久子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (40346937)
永井 弥生 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10261835)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護職 / 医療事故 / スクリーニング / ヒューマンエラー / 医療安全 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護職の医療事故のリスクを判定することができるツールであるリスク判定用スクリーニングシートを開発することである。 本年度は、看護職の医療事故の関連要因が示された文献を基にして作成した医療事故リスク判定用スクリーニングシート(案)を使用し、平成26年度に実施した質問紙調査の集計と分析を行った。質問紙調査票の回収数は496(回収率72.5%)であり、無効回答35を除いた461(有効回答率92.9%)を分析対象とした。過去6ヶ月間に、患者に誤った行為を実施したとする医療事故を起こした経験ある者は281名、ない者は180名であった。医療事故の経験がある群の平均は6.9(±7.4)年、がない群の臨床経験年数の平均は10.4(±8.0)年であった。看護職の医療事故のリスク判定用スクリーニングシート(案)での医療事故のあり群となし群の2群間での比較は、不安・緊張、混乱、抑うつ、性格特性、多忙、業務調整能力、環境、勤務体制の項目で有意差が認められた。すなわち、医療事故の経験があったものは、不安・緊張、混乱、抑うつ状態であり、性格特性は従順であり、多忙で過酷な勤務状況にあり、業務調整能力が低い状況であった。属性についての医療事故あり群となし群の2群間での比較では、年齢、臨床経験年数、所属部署経験年数、夜勤日数で有意差が認められた。多重ロジスティック回帰分析の結果では、医療事故に影響していた項目は、臨床経験年数、交代制勤務の有無、GHQ12が示され、先行研究と類似する結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に実施した質問紙調査の集計や分析に時間を要したためである。具体的には、看護職のリスク判定用スクリーニングシート(案)の結果を分析するために、多変量解析などの多くの分析方法を試みたためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に作成し、調査に使用した看護職の医療事故のリスク判定用スクリーニングシート(案)の分析結果を参考にして、看護職の医療事故のリスク判定用スクリーニングシート(案)を更に精錬していく必要がある。そのためには、看護職のリスクをあらゆる角度から網羅して捉えることが必要であり、人間工学領域における知見を活用するべきであると思われる。特に、ヒューマンファクター工学における知見を深め、医療事故に関する枠組みについて参考にし、看護職の医療事故のリスク判定用スクリーニングシート(案)を再考していきたいと考える。 平成28年度には、再考したスクリーニングシート(案)を使用して質問紙調査を実施し、看護職の医療事故のリスク判定用スクリーニングシートの完成を目指していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1回目のリスク判定用スクリーニングシート(案)を使用した調査結果の分析に時間を要したため、第2回目の調査を実施することができなかったため、質問紙調査票の用紙代や印刷代、個別に返信してもらうための郵送代、データを整理するための補助者の謝金などの未使用額が生じた。次年度は、質問紙調査の実施や結果をまとめて論文を作成するために、予算が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、リスク判定用スクリーニングシート(案)を精錬するために、人間工学領域の文献の収集をするための経費が新たに必要となる。また、県内の看護職2000名を対象とした、郵送法による自記式質問紙調査を行う予定である。よって、質問紙調査票の用紙代や印刷代、個別に返信してもらうための郵送代、データを整理するための補助者の謝金、専門家への分析の相談料などの経費が必要である。また、得られた結果を基に、論文を作成するために、経費が必要になる。
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