研究課題/領域番号 |
26670912
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中村 美香 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (10644560)
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研究分担者 |
岩永 喜久子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (40346937)
永井 弥生 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10261835)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 看護職 / 医療事故 / スクリーニング / ヒューマンエラー / 医療安全 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護職の医療事故のリスクを判定することができるツールであるリスク判定用スクリーニングシートを開発することである。 本年度は、平成26年度に実施した看護職の医療事故リスク判定用スクリーニングシート(案)を用いた調査結果の分析を、前年度より継続して実施した。看護職の医療事故のリスク判定用スクリーニングシート(案)の質問項目を、13項目に分類して分析を進めた。看護職の医療事故のリスクを判定するスクリーニングシートを作成するにあたっては、看護職がインシデント・アクシデントを繰り返して起こす要因を明らかにするという観点からの分析が必要であると判断し、以下の分析を行った。分析は、研究対象者である看護職を、過去6ヶ月間のインシデント・アクシデントの頻度によって、0回、1~2回、3回以上の3群に分けて、各項目の得点を比較した。その結果、看護職のインシデント・アクシデントを3回以上起こした群は、0回の群に比べて「不安・緊張」「混乱」「抑うつ」「従順な性格特性」「判断力の不足」「連携不足」「過酷な勤務状況」「業務多忙」の8項目における項目平均得点が有意に高かった(p<0.05~0.001)。すなわち看護職のインシデント・アクシデントの頻度は、これらの8項目と関連することが明らかとなった。よって、これらの8項目は、看護職の医療事故のリスクを判定するためのスクリーニングの項目として、活用することが可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に実施した看護職の医療事故リスク判定用スクリーニングシート(案)の質問紙調査の分析に時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
看護職がインシデント・アクシデントを繰り返す要因として、「不安・緊張」「混乱」「抑うつ」「従順な性格特性」「判断力の不足」「連携不足」「過酷な勤務状況」「業務多忙」の8項目が明らかとなった。しかし、看護職のインシデント・アクシデントと関連を示したこれらの8項目は、構成に偏りがあると考えられたるめ、全ての項目を加味したスクリーニングシートの作成には限界があると判断した。よって、今後はインシデント・アクシデントと関連が示された「不安・緊張」「混乱」「抑うつ」「従順な性格特性」「判断力の不足」「連携不足」「過酷な勤務状況」「業務多忙」の中の項目に焦点を絞って、看護職の医療事故のリスクを把握するためのスクリーニングシートを考案していくことが必要であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に実施した第1回目の調査の分析に時間を要したため、第2回目の調査を実施することができなかった。よって、看護職のリスク判定用スクリーニングシート(案)の作成のための第2回目の調査で必要であった、質問紙調査票を作成するための用紙代や印刷代、質問紙調査票を個別に返信してもらうための郵送代、データを整理するための補助者への謝金などの経費の未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本年度の分析結果を活用してリスク判定用スクリーニングシート(案)を作成するために、文献から知見を得る必要があり、経費が必要となる。また、予備研究を実施した後に、第2回目の調査を行う予定であるため、質問紙調査票を作成するための用紙代や印刷代、質問紙調査票を個別に返信してもらうための郵送代、データを整理するための補助者への謝金などの経費が必要となる。次年度には第2回目の調査の結果をまとめて論文を作成するためにも、予算が必要となる。
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