研究課題/領域番号 |
26670923
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岡田 みずほ 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (90596561)
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研究分担者 |
大山 潤爾 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンテクノロジー研究部門, 研究員 (00635295)
佐藤 洋 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (10260423)
松本 武浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (20372237)
本村 陽一 独立行政法人産業技術総合研究所, サービス工学研究センター, 副センター長 (30358171)
岡田 純也 帝京大学, 福岡医療技術学部看護学科, 准教授 (70315266)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護業務量調査 / 携帯端末 |
研究実績の概要 |
2014年9月、プレ調査として全病棟で標準的に実施される入院時看護業務29項目について、調査用紙を用いた業務量調査を実施した。92名分のデータを収集した結果、患者1名当たりの入院時必須の看護業務に要する時間は、平均177.2分だった。また、29項目以外に実施していると回答があったのは新たに加わった文書作成および手術準備関連業務の12項目だった。 この結果を踏まえ、日本看護協会の看護業務基準集に掲載されている看護業務161項目を「療養上の世話」「診療の補助」で分類し(大分類)とし、「保清」「安楽」「食事」「測定」「呼吸循環管理」「患者移送」など大まかな業務区分28項目(中分類)とした。また、中分類をさらに詳細に区分(項目分類)し、3階層の業務マスタを構築した。 この3階層化した業務マスタをAndroid型携帯端末にアプリケーションとして設定した。 2015年1月、この携帯端末を使用して看護師5名に対して日勤中の看護業務量測定を実施した。また、調査者(携帯端末を使用した者)1名に対して操作性などを聞き取り調査した。 携帯端末の操作性では、1業務を登録する際にタップする回数が最低4回だった。業務項目の選択が大分類から順に選択していく方式であるため選択項目の格納場所を記憶しておく必要がある使いづらさを感じていた。しかし、タイマーをスタートさせた後でも項目が選択できる機能があった点で調査項目の開始時間が大幅に遅れる、未登録の発生等を防止できるなどの操作性の利点と問題点を抽出できた。また、調査データからは、各業務の占める割合が日ごとに異なる点、また時間ごとのデータで見ても、勤務時間帯ごとに実施する内容が日ごとで変化しており、さらに多重業務を実施していることが数値化できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
業務量調査用の携帯端末の操作性に関する調査が実施でき、問題点の抽出まで実施できた。特に、マスタ構築の部分が調査の操作性に大きく影響する点が明らかとなったことで、調査用途に応じた複数の階層構造を持つ業務マスタ構築が必要であることが明らかとなった。 また、業務内容を詳細に調査できた結果、時間帯でも実施業務内容に差がある点や業務終了時刻に近づくにしたがって文章作成等の業務時間が増えるなど業務手順も明らかとなった。さらに、調査データが1時間ごとに分割した場合に1時間を超えているなど多重業務の実態も収集できた。今後は、収集したデータの詳細分析を実施してく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査結果をもとに、マスタの階層構造の見直しを行い、複数の業務マスタのセットを構築する。業務マスタセットごとの業務量調査を実施し、最も調査しやすいマスタ構造を特定する。 さらに、業務量調査の目的とパターンを明確化するために看護管理者から助言を得、各マスタのセットが目的に合致してるかを調査する。 得られた調査目的別での調査を実施する中で、看護業務の実態を明らかにするために必要な分析手法の確立ととともに、それを用いた業務改善サイクルの構築を目指す。
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