本研究の目的は、看護系の大学生を対象に、入学時からの段階的・継続的な「体験交流型キャリア教育(介入)を実施し、その有効性を検討することである。今年度は、介入群に第3回目の介入を実施し、さらに最終年度となるため、介入最終評価のための質問紙調査を実施した。具体的な介入は、看護の知識を活かしながらその活躍の分野を拡げている様々な看護職(例:起業している看護職、僻地で働く看護職等)の職場を学生が訪問し、看護職との直接的交流を深めながら、実際の仕事を体験することである。質問紙調査の内容は、キャリアの準備性(職業キャリアレディネス尺度、進路選択に対する自己効力感尺度)、社会人基礎力および自己のキャリア展望についての自由記述とした。分析の結果、介入後はキャリアへの関心が高まる傾向が認められ、自由記述では「看護職の活躍の場は広いと思った」「将来、自分の仕事に誇りをもって働けるように、やりたい仕事・叶えたい夢を見つけていきたい」等、キャリア展望が拡がっていることが確認された。 本研究の3年間の総括として以下のことが示唆された。職業キャリアレディネスは、元々の個人の性格傾向が関連しており、「外向性」「勤勉性」の高い学生がキャリアレディネスも高いことが示された(第48回中国・四国学校保健学会にて発表)。「体験交流型キャリア教育」は、看護職の活躍の場が病院や自治体等だけでなく多岐に渡っていることに気付く契機となっており、キャリアレディネスを高め、キャリア展望を拡げていくことにつながっていた。以上より、キャリア教育の一手法として「体験交流型キャリア教育」の有効性が示唆された。
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