研究課題/領域番号 |
26670929
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
石亀 篤司 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60212867)
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研究分担者 |
真嶋 由貴恵 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70285360)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看護学 / 情報システム / 医療・福祉 / 電気工学 / システム工学 |
研究実績の概要 |
熟練技術者がもつ技能を次世代に継承する難しさが問題となっている。臨床現場で熟達した看護師と新米の看護師が患者に注射を打つ際に、熟達した看護師の方が痛みの度合いが少ないことが多いことに着目し、その技術を新米の看護師に継承する方法について検討を行っている。 注射を打つ際にリラックスした状態である事が痛みを軽減させる効果があると考えている。このリラックス状態については看護師自身がリラックスすることにより患者をリラックスした状態に引きこむことができるとも考えている。また、α波がでるリラックス状態だけでなく脳波の同期現象も重要である。例えば、会話において、話し手と聞き手が対面、非対面で会話する場合では、対面する場合の方が互いの呼吸の引き込みあい等による同期が発生し円滑な意思疎通が図れるといった例も存在する。看護師が患者に注射を打つ際も、脳波等の同期現象が誘発されることで、いわゆる息が合った状態が起こり、痛みを伴わないスムーズな注射が行われている可能性があるのではないかと推測される。すなわち、熟達した看護師は自身がα波を出し、同期現象を用いて脳波の同期を図ることで患者にα波を誘発させており「α波と同期現象によって痛みの軽減が行われる」のではないかと考えた。その仮説を検証することを目的に、本年度は、看護師と患者役での同期現象の確認と、現象を誘発させることができる要因についての実験検討を脳波計、バイブレータ、音響設備などの機材を用いて行った。具体的には、注射を腕モデルに対して打つ実験を行い、脳波の同期について定義し、α波帯域含有率から脳波の同期について解析を行った。その結果、看護師においてα波帯域含有率が高い方が注射の成功につながることがわかった。さらに同期現象について、リラックス音楽や微弱な振動刺激が誘発効果に優れているのではないかという仮説を立案することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ある程度の仮説は得たものの、生体リズムの同期現象の誘発が予想以上に難しく、現象誘発機材の作製に時間をとられている状況である。そのため、看護技術修得支援システムの検討にかける時間が少なってしまっており、研究計画の実施がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
同期現象の誘発検討や暗黙知を伝承しやすい環境を創発することの検討を更に進め、静脈注射技術映像から技の特徴を抽出するなど、看護実践知を看護師―患者関係の中で定量的に明らかにする試みをさまざま実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
生体リズムの同期現象の誘発が予想以上に難しく、現象誘発機材の作製に時間をとられており、映像記録・解析用機材の購入時期がずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
同期現象誘発機材を早急に作製し、映像記録・解析用機材の購入を速やかに進める予定である。
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