研究課題/領域番号 |
26670931
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
永嶋 由理子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10259674)
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研究分担者 |
於久 比呂美 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (10512022)
藤野 靖博 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20405559)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 看護技術 / 熟達化 / 感情 / 血圧測定 / 動作の向上 / 思考の深化 |
研究実績の概要 |
本研究は、看護技術の熟達化(熟達化とは:安定して行為が達成されている側面と,状況の変化にきわめて柔軟に対処する側面の2つの特徴がある.本研究では「手際のよい熟達」と「適応的熟達」に大別)に至る過程に着目し,その過程で起こる「感情喚起」の変化を心理学的及び科学的な視点から実証していくとともに,熟達化過程への影響度を検討することにある.また,看護技術の熟達化を促進させるために必要な教育方略を提案することにある.思考の深化を検証するために,光イメージング脳機能測定装置(Spectratech OEG-16)を使用し,感情変化を脳波により分析した.その結果,血圧測定を開始する前に,前頭葉全体のオキシヘモグロビンの増加,デオキシヘモグロビンの減少がみられた.終了後はデオキシヘモグロビンの増加がみられた.このことより,血圧測定前は,前頭葉全体で思考が活発となり,測定中は,熟練者であるため,手技的には一連の動作が反射的におこなわれた結果,前頭葉の一部のみと,聴覚をつかさどる側頭葉に近い部分の活動が活発になった可能性が考えられた.一方,身体的動作向上の側面から検証するため,簡易型動作分析システムを用いることとした.しかし,このシステムは細かな動きを分析することが苦手なため,これに代わる機器を検討していたが適切な機器を選択できなかったことから,まずは簡易型動作分析システムを用いてプレテストを実施することにした.その結果,血圧測定という動きの少ない動作の解析が難しく,一部の動作向上は検証できたが,血圧測定の一連の動作について検証することはできず,他の手法の検討が必要となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
簡易型動作分析システムを使用し動作の向上を検証したが,血圧測定という一連の流れの動きは非常に繊細で小幅な動きであるため,微妙な動きの感知が難しく,一部の検証にとどまったことから,検証方法の見直しが必要となった.
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今後の研究の推進方策 |
簡易型動作分析システムに代わる検証方法として,眼球運動の動きの変化から動作の向上を検証することとした.被験者への身体的負荷が少なく,血圧測定を妨げない眼球運動測定装置(Talk Eye Lite)を用いることを計画している.
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次年度使用額が生じた理由 |
検証方法に使用した実験機器が,検証に十分足るものではなかったため,再度検証方法を見直すとともに,他の機器を検討していく必要が生じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
動作の向上を確実に検証できる機器として,眼球運動測定装置(Talk Eye Lite)を購入する予定であるため,これにより,血圧測定の微妙な目の動き(動作の向上=スキルの熟達は,動作の合理性と目の動きの合理性は比例する.したがって,熟達していくほど無駄な目の動きが少なくなると仮説を立てた.その仮説を検証していく)と熟達化を検証していく.
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