研究課題/領域番号 |
26670934
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
西山 里利 目白大学, 人間学部, 専任講師 (40310411)
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研究分担者 |
西山 敏樹 東京都市大学, 都市生活学部, 准教授 (70458967)
塩瀬 隆之 京都大学, 総合博物館, 准教授 (90332759)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護用具・用品 / 開発支援 / ワークショップ手法 / ユニバーサルデザイン / システムデザイン / ファシリテーション / 産学連携 / 看護技術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護用具・用品の開発における基本デザインの提案手法として患者中心型デザインワークショップ(PCDWS)手法を評価することである。初年度は、WS手法の評価指標として、ユニバーサルデザインの7原則とシステムデザインマネジメントの観点である価値観・技術・制度の3視点を取り入れた21項目の評価指標(UD*SD分類シート)を作成した。今年度は実践したWS中の研究者による観察データ、参加者が付箋紙に書き出した“気づき情報”、付箋紙が分類されたベン図、ファシリテータを対象とした面接データ、参加者(ケア提供者・企業担当者)を対象とした質問紙調査のデータ分析を行った。 【WS手法の実践】 8月に1セッションのパイロットスタディを経て、本調査では、9月2セッション、12月2セッション行った。本手法の【聞く】では、参加者の気づき情報の付箋紙への書き出し、【起こす】では、価値観・技術・制度からなるベン図への付箋紙の分類、【練る】では、分類の妥当性を高めるために参加者とファシリテータで確認する作業を行った。 【WS手法の評価】 UD*SD分類シートによる評価では、快適性に関する“気づき情報”の分類方法や品目によって異なる分類のばらつきについて、データを積み重ねて分析する必要があることが考えられた。観察では、ファシリテーションに一部特徴がみられた。ファシリテータの動きが活発で進行にスピード感があるタイプ、セッションが単調に進行する静的なタイプ、参加者が主となりファシリテータが黒子のように進行するタイプであった。観察と面接データからは、ベン図で技術に分類された項目について、看護技術か製品開発のノウハウか、価値観に分類された項目ではケア提供者の価値観か患者の価値観か等の明確に分類しきれない本手法の課題が挙がった。参加者の質問紙調査による主観評価では、本手法による疲労感があると答えた者は少なく、満足度についても概ね高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
WS手法の実践は、今年度計画した通りに実施できた。得られたデータの分析もおおむね計画通りに行えた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は次の通り実施する。 【WS手法の実践と評価】 WSの実践は、7月2セッション、10月2セッションを予定している。ファシリテータのサンプリングは、本手法のファシリテーション回数、性別、年齢をコントロールして行う。 データ収集は、今年度と同様に、WS中の研究者による観察データ、参加者が付箋紙に書き出した“気づき情報”、分類されたベン図、ファシリテータを対象とした面接データ、参加者(ケア提供者・企業担当者)を対象とした質問紙調査のデータ分析を行う。また、WS中のファシリテータと参加者の会話分析から、参加者の看護用具・用品の開発支援につながる発話を誘発・促進するファシリテーションの特性、分類するベン図の課題を明らかにする。これらの分析・評価の後、外部評価を得る。外部評価者は、デザイン関係、コミュニケーション関係、看護技術関係の専門家を候補として依頼予定である。 最終的に、本手法が看護用具・用品の開発における基本デザインの提案手法として適しているか、ファシリテーションの方法、ベン図、UD*SD分類シートに着目して評価し、課題と改善点を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き次年度にWSを実施することにより、運営費を繰り越すことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
WS運営費(参加者・ファシリテータの謝金、交通費、会場使用料、通信運搬料等)、交通費(会議、学会発表、専門家へのヒアリング)、謝金(専門家へのヒアリング)
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