【研究目的】運動課題とアナロゴンを看護技術の習得に活用する方法を検討する。 【研究方法】文献研究とインタビューから,運動課題とアナロゴンの検証が可能な看護技術として,胸骨圧迫法とアンプルカットを抽出し,アナロゴンを用いた指導と通常の指導との違いを比較する準実験を行い,アナロゴン使用の感想を得た。【倫理的配慮】所属大学の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:KWU-I RBA#15070)。 【結果】胸骨圧迫法では到達目標を,肘関節を伸ばして垂直に圧迫するとした。馬跳びをアナロゴンとして用いた実験群で到達目標に達した学生は,37名(78.7%)から47名(100%)であり,対照群では20名(43.5%)から45名(97.8%)であった。アンプルカットは,板チョコレートを割るアナロゴンを用いた実験群には演習開始5分間経過後でアンプルカットできなかった学生はなかった。対照群は5名(9.4%)あった。無記名自記式によるアナロゴン使用の感想はイメージしやすい,感覚がわかる,よく似ていたという意見が大半を占めた。アンプルカットにおける恐怖心の記述は,実験群18文(18.1%),対照群56文(52.4%)で対照群が多かった。 【考察】運動課題やアナロゴン活用の成果は看護分野においても運動経験を生かして学習する方法を示唆するもので,今後の学習にも生かすことができる。効果についてのデータが蓄積され,検証されることで今後,看護技術の習得を促す教育方法の開発にもつながる可能性がある。本研究で検証した看護技術は,胸骨圧迫法とアンプルカットであり,他の技術では確認できていない。事例を増やし,検証を続けていきたい。 【結論】運動課題とアナロゴンを看護技術の習得に活用する方法として,胸骨圧迫法には馬跳び,アンプルカットには板チョコレートを割る動作を行うことで習得を容易にする可能性があると推察された。
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