研究課題/領域番号 |
26670936
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 准教授 (20509525)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 健康生成論 / 首尾一貫感覚 / 慢性疾患患者 |
研究実績の概要 |
概ね下記4点について実施し成果をみた。 第1にニーズ把握のための調査として実施した慢性腎臓病(CKD)患者におけるsense of coherence(SOC)とストレス、健康行動に関する調査で、そのデータについて分析を行った。CKD患者におけるストレッサーの実態およびその分類と、SOCとストレッサーとの関係について明らかにすることができたといえる。 第2に、29th Conference of the European Health Psychology Societyに参加し、研究経過報告ならびに情報収集、情報交換を行い、本研究の重要性を確認し方向性を明確にすることができた。 第3にHIV陽性者調査データの分析を、SOC向上のメカニズム把握の点から実施し、SOCの実態とスティグマによるその阻害、ストレス関連成長経験による促進の可能性について明らかにし、報告を行った。 第4に脳卒中患者における生活の再構築とSOCに関する検討を通じてSOC向上方策を探る形成的調査の実施に向けての調査フィールド開拓および調査票作成、調査実施を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多岐にわたる慢性疾患患者に対する研究的アプローチを実施することができ、患者のストレス対処力向上へのニーズに加えて、向上に至るメカニズム解明に資する調査実施および分析を実施するに至っているため。
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今後の研究の推進方策 |
大きく3つの推進方策を検討している。 第1に、研究フィールドをさらに拡大し、特に難病患者におけるストレス対処の実態とSOCに関して研究的アプローチを推進していくことが、本研究成果の一般化のうえで必要である。 第2にこれまでの調査で得た多岐にわたる知見について結果の公表を推進し、研究者ネットワークならびに批評を得ることを通じ、研究内容のブラッシュアップをはかっていくことが必要である。 第3にこれまで実施してた3つの調査結果および今後実施する難病患者における調査について分析を深化させ、SOC向上に向けたメカニズムに関する新たな枠組みの構築を行っていくことである。また、その成果を用いた介入にかかわるプログラムの構築につなげていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
大きく2つの理由による。1つは、脳卒中患者調査実施時期がずれ込み、年度をまたいでいる点である。したがって、調査票の配票は完了したものの、回収および入力作業が未完となっており、この経費分が次年度に繰り下がった。 もう1点は、難病患者を対象とした調査について、調査準備、フィールド確保の作業が次年度にずれ込んだため、その分の経費が次年度に繰り下がった。
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次年度使用額の使用計画 |
脳卒中患者調査における調査票回収費用ならびにデータ入力、クリーニング費用として使用する。また、難病患者調査における調査準備、フィールド確保に係る費用として使用する。
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