研究課題/領域番号 |
26670936
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 教授 (20509525)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ストレス対処力 / 首尾一貫感覚 / 慢性疾患 |
研究実績の概要 |
本年度では主として3つの成果を上げるに至った。 第1に、慢性腎疾患患者におけるSOCの実態とストレッサー対処との関係性に関する検討で、慢性腎疾患患者におけるストレッサーの分類、健康管理における負担の内容と腎疾患関連の血液検査値、体重管理状況のそれぞれについて、SOCがどのように関連し、機能しているのかを明らかにすることができた。またストレッサーの分類の結果、療養にかかわるストレッサーと、検査値、体重管理状況との関連が大きく、またメンタルヘルスとの関連についても明確になっており、この点について深く追求していくことが必要と考えられた。これにより慢性腎疾患の療養生活を支えるうえでSOCの向上に向けて支援することの重要性が示されたといえる。 第2に、基礎的調査の一環として、妊娠期の女性を対象としたSOCの機能の自律神経系機能との関連性を明らかにし、疾患を有する場合においても同様の機能的関連性をもつ可能性と、SOCの向上に向けての身体的経験のもつ影響を踏まえることの重要性について示唆を得た。 第3にHIV陽性者を対象として、HIV陽性者のストレスおよびソーシャルサポートの実態を明らかにすること、またSOCの実態として一般人口よりも低いこと、また、所得や学歴による格差が一般人口よりも大きいこと、などが分析により明らかになった。これによりSOCの向上をめざすプログラムの構築の必要性が明らかになった。このことを踏まえ、HIV陽性者に向けたSOCの向上のためのトライアルプログラムを構築し、プレテストを行った。その結果一定のSOCの向上が見られており、今後のプログラムの構築と評価研究に向けてさらに検討を進めていくことが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性疾患患者におけるSOCの向上策の策定に向けた基礎的検討を多角的に疾患や対象者の特性に応じた形で実施・検討していくという、本研究課題について着実に成果を上げていると評価できる。また、トライアルプログラムの構築まで到達しており、今後の評価研究に向けてより深化させていくことが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象者として浮上してきた慢性疲労症候群患者を対象とした調査について、次年度中に調査実施を行い、さらなるSOCと療養生活におけるストレス対処経験との関連性と、そこへの介入の可能性について明らかにしていくことが期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定をしていた慢性疲労症候群患者対象の調査実施がずれ込んでいるためであり、次年度に実施していく。また、研究公表作業も一部残されていることも要因の一つである。
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次年度使用額の使用計画 |
慢性疲労症候群患者を対象とした調査の実施を行っていく。また、研究公表作業として、これまでの研究成果の論文化並びに学会発表についても引き続き行っていく。
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