研究課題/領域番号 |
26670938
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
菊地 由美 東邦大学, 看護学部, 助教 (00459819)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音環境 / デイルーム / 生活空間 / サウンドスケープ・デザイン |
研究実績の概要 |
1)データ収集に関して:本調査はサウンドスケープ理論に基づき、量的、質的と様々な視点からのデータを総合的に捉える方法で音環境を分析する予定であった。しかし、倫理審査で複合的な方法で一度に審査を通すことが難しく、第一段階としての計画の変更を余儀なくされたため、先ずは、精密騒音計を使った音圧測定を中心とした「機械的記録」と研究者(調査者)がその場の音を聴取して記録する「身体的記録」を実施することにした。従って、現時点では、デイルームの物理的な環境を質的、量的に捉える段階でのデータ収集を実施している段階である。現時点において、データ収集が終了した、A病棟の結果では、①10-11時(くつろぎの時間の想定)ではLAF43.8(min/max=37.0-58.0)②12-13時(食事の時間)ではLAF52.8(51.5-53.0)③14-15時(談話の時間)では、LAF54.4(44.7-72.5)という結果であり、同じデイルームであっても、時間帯によって音圧の結果に違いがあることが明らかとなった。デイルーム利用者数に関しては、利用目的や滞在時間は様々であるが、延べ人数を集計すると、①10-11時(くつろぎの時間の想定)が14人、②12-13時(食事の時間)が25人、③14-15時(談話の時間)が46人であった。 今後は、様々なバリエーション(デイルームの構造、病棟の診療科の特徴など)のある場所でデータ収集を継続していく予定である。 2)情報収集:RION社の騒音測定器に関するセミナーに参加し、騒音測定機に関することや分析方法などの情報を得た。また、日本音響学会に参加し、音に関する研究の方向性や具体的手法等について情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
元々計画していた複合的な手法を同時に行う計画では、倫理審査を通すことができず、計画の修正を余儀なくされ、修正に時間を要したこと、また倫理審査委員会を大学と病院と2つ通すために約半年間かかった。その後、調査開始に当たり、調査対象の病院が耐震工事中であったため、騒音に対する懸念から調査を開始できず、耐震工事終了後からの開始となったため、データ収集が大幅に遅れることとなった。調査開始に当たっては、事前に当該病棟責任者と打合せおよび事前準備をしての開始としているが、病棟責任者が多忙であることが多く、打合せの日程調整に難航している点が、更に後れを促進している。
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今後の研究の推進方策 |
調査予定の複数の病棟デイルームの音環境に関する物理的なデータ収集を中心に進め、結果のまとめ、考察を行っていく。次年度の日本音響学会への発表を目指す。 予定していた方法論の第一段階としての倫理審査承認となったため、残された期間で、再度倫理審査を通し実施することは難しく、計画の一部は実施することが不可能となる。
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