研究課題/領域番号 |
26670938
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
菊地 由美 東邦大学, 看護学部, 講師 (00459819)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 音環境 / デイルーム / 生活空間 |
研究実績の概要 |
【目的、方法】療養環境の中で公共性が高く多目的に利用される“デイルーム”について、入院患者により豊かな日常生活空間を提供するために、音環境の現状を明らかにすることを目的に、2016年3月~8月を調査期間とし、5か所のデイルームで調査を実施した。①面会時間外の10時~、②昼食時間帯の12時~、③面会時間帯の14時~とし、各1時間ずつ持続的な調査を実施した。調査内容は、①精密騒音計を設置しての音圧測定、②デイルームで生じる音種の聴取およびデイルームの利用状況についての調査者による観察・記録を実施した。倫理的配慮としては、東邦大学看護学部(承認番号:27010)及び対象病院(審査番号:27-151)の倫理審査委員会の承認を得て実施した。 【結果】精密騒音計にて測定した結果、等価騒音レベルの平均値は、 10時台ではLaeq:51.5~55.5、12時台ではLaeq:52.8~56.2、14時台ではLaeq:56.0~62.3であった。利用者人数は、10時台では平均12名、12時台では平均15名、14時台では平均25.6名であった。デイルームで生じる音種については、デイルーム内・外で生じる音以外に屋外の音も存在した。どのデイルームにも共通して存在した音は、デイルーム内の椅子を引く音、自動販売機や飲料用機械のモーター音、会話音であった。70dB以上と測定された音は、椅子を引く音、自販機補充音、廊下から生じるワゴン音、配膳車や食札を扱う金属音などがあった。 【考察】時間帯によって利用者人数および利用用途が異なり、それに伴い生じる音種にも違いがあり、時間帯による特徴があることが示唆された。また、瞬間的に70dB以上を示す音が多く観察されたが、個々に不快を感じる音圧・音種は異なる可能性があるため、本調査からは利用者の不快感情との関連はわからないため、今後の更なる調査のの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度からの調査の遅れの影響により、調査終了が予定よりも大幅に遅れ、研究期間を延長する運びとなった。そのことに伴い分析作業についても遅れが生じている。現在、質的なデータの整理を再度行い、量的なデータと合わせて分析を深めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後更に分析を深め、結果や考察についても精度を上げて日本音響学会への論文投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
倫理審査に時間を要し一部計画が変更になったこと、調査場所の耐震工事による騒音問題で調査実施が遅延したこと、研究者家族の入院・介護等により研究全体が遅延したことに関連し、予算使用にも遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後のデータ分析、まとめ作業に対する人件費や謝金、論文投稿準備に関する費用に使用する。
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