【目的】本研究は、療養環境の中で公共性が高く多目的に利用される“デイルーム”に焦点を当て、入院患者により豊かな日常生活空間を提供するために、デイルームの音環境の現状および活用の実態を明らかにすることを目的とした。 【方法】特定機能病院の承認を受けている大学病院の病棟内デイルームを対象とし、2016年3月~8月を調査期間とし、特徴の異なる5か所のデイルームで調査を実施した。調査は、デイルームの時間帯によっての主となる活用性を想定し、①面会時間外の10時~、②昼食時間帯の12時~、③面会時間帯の14時~3つの時間帯を設定し各1時間、調査を行った。調査内容は、①精密騒音計を設置しての音圧測定、②デイルームで生じる音種の聴取およびデイルームの利用状況についての調査者による観察・記録を実施した。倫理的配慮としては、東邦大学看護学部(承認番号:27010)及び対象病院(審査番号:27-151)の倫理審査委員会の承認を得て実施した。 【結果】精密騒音計にて測定した結果、等価騒音レベルの平均値及び最小値/最大値は、 10時台ではLaeq:51.5~55.5(min34.8-50.4/max77.1-84.1)、12時台ではLaeq:52.8~56.2(min42.0-53.0/max51.5-82.6)、14時台ではLaeq:56.0~62.3(min36.9-50.6/max77.5-87.3)であった。利用者数の平均は、10時台12名、12時台15名、14時台25.6名であった。音種は、デイルーム内・外で生じる音と屋外音も存在し、共通した音は、椅子を引く音、自動販売機や飲料用機械のモーター音、会話音であった。 【考察】時間帯によって利用者の人数および利用用途が異なり、それに伴い生じる音種にも違いがあり、時間帯による特徴があることが示唆された。
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