本研究の目的は、ジェネラリスト看護師の気道クリアランスケアにおける教育プログラムを開発し、その有用性を検討することである。 先行研究により、臨床看護師の経鼻吸引技術の向上に関する教育的介入の必要性が明らかとなり、既存の気道吸引モデルを評価した結果、経鼻吸引で損傷しやすい部位である鼻腔、咽頭後壁の構造やカテーテル操作の感覚が実際とは異なっていることが明らかとなった。結果をふまえ、看護師が臨床場面での経鼻吸引に即したカテーテル操作を習得するためのシミュレータ教材を開発した。開発したシミュレータ教材は、解剖学的構造を再現するためCT画像データをもとに3Dプリンタによってモデルを造形し、ディスプレイモニターで解剖学的構造とカテーテル先端の位置を視認する機能を備えた。 平成29年度は、開発したシミュレータ教材を用いたトレーニング場面を設計し、臨床場面において経鼻吸引を実践する看護師41名を対象に効果を検証した。その結果、トレーニング前後のカテーテル操作時間は短縮し、約2週間の臨床場面における経鼻吸引実践前後の技術到達度は「粘膜を傷つけずにカテーテルを操作する」「1回にかける吸引時間を最小限にする」の2項目が上昇した。 また、開発シミュレータ教材と既存シミュレータ(2種)のカテーテル操作の再現性、有用性、効率性、満足度の評価について半構造化面接を実施した結果、開発したシミュレータ教材は、カテーテル操作の再現性、教材としての有用性・効率性・満足度について、既存のシミュレータよりも高いと評価された。
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