研究課題
本研究の目的は、大規模災害発生後の避難所において看護学生が看護補助ボランティア員として安全かつ効果的な活動が行える教育プログラムの開発とプログラムを継続的に実施するためのシステム構築であった。教育プログラムの開発は、初年度に教育プログラム内容を検討するために東日本大震災時に看護活動を行った看護師にインタビュー調査を実施し、「災害看護の基礎知識」「災害時要援護者への理解」「被災者の心理・援助者の心理への理解と援助」「避難所運営」「避難所における保健・衛生管理・感染症対策」「災害時に必要な看護技術」の6項目が抽出された。その結果をもとに講義と演習形式で構成し、2日間で行えるプログラムを作成した。教育プログラムは、平成27~29年の期間に1~4年生の看護学生に対して4回実施した。評価は、プログラムの実施前後の調査と実施後に非構造化面接を実施し、「開催時期・期間・場所」「プログラム内容や時間」の改善点が明らかとなった。さらに、プログラムの内容は学生からの評価だけでなく、実際に東日本大震災や熊本地震災害時に避難所で医療ボランティア活動を行った看護大学教員にスーパーバイズを受け、「看護学生の災害時看護補助ボランティア教育プログラムVer.3」が完成した。教育プログラムを継続的に実施するためのシステム構築では、継続可能なシステム構築のため、大学組織内に災害ボランティア教育研究センターを設置し、教職員と学生が中心となり運営していくことを計画していた。本学では、平成26年度から「看護研究交流センター」が開設され、同年度より「災害教育プロジェクト」を申請し、災害に関する活動を行っている。研究終了後は「災害教育プロジェクト」の企画で「看護学生による災害時看護補助教育プログラムVer.3」を継続して実施し、看護学生ボランティア員の募集やプログラムの実施を継続していける体制として検討している。