研究課題/領域番号 |
26670943
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
高橋 純子 北陸大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60636596)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 災害時医療 / 支援透析 / 患者情報 / 治療条件 / 安全対策 / 血液透析 |
研究実績の概要 |
今年度は、支援透析を提供するにあたり必要な情報項目の明確化、アプリケーションの機能やデザイン、操作性など制作における助言・要望を得るために、無作為抽出した透析施設300施設に対して研究の依頼文、研究の趣旨説明、調査用紙を書面にて郵送し研究協力を得た。また、そのデータを統計学的手法に則り支援透析に必要な最低限の項目の分析・抽出を行った。分析結果に基づき、「災害時透析治療条件管理アプリケーションソフトをソフト制作関連企業と共に作成した。画面構成は、①トップ画面:ID,PWを入力することで患者自身が個人情報を管理していく。また、使用方法は常にヘルプ画面へと導けるようにした。②患者基本情報:確実に入力・管理ができるよう平均年齢65歳以上の患者を対象とした画面、操作性など工夫をし、支援先での情報の欠損が無いようにした。③透析治療画面:患者では入力が難しい項目があり、医療従事者の協力を得ながら日頃からの両者のコンタクトを図ることで入力を更新させる。④穿刺部位:シャント肢の画像を表示することにより支援先でも円滑な穿刺を実施することが可能である。⑤患者管理画面:患者自身の日常管理に必要な項目を自ら入力・更新することにより自己管理意識を高める。この情報はすべてグラフ化し、継続的な管理を実現させる工夫をした。⑥現在透析を受けている透析施設と自宅の連絡先:自宅および現在治療を受けている透析施設の連絡先(電話番号、メールアドレス)を入力する。この画面は次の⑦の画面と連動し、被災後の安否を確認するための手段として使用する。⑦支援透析施設の連絡先:被災時に支援先の透析施設で治療を受けることになった場合にこの画面を入力することで自動的にGPSが作動し⑥の画面の透析施設、自宅に連絡が発信される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、調査施設のデータの統計分析およびその結果に基づいたアプリケーションソフトの作成の予定であった。概ね計画とおりに進んでおり、ソフトのリリースは公にはなっていないが制作完了し、臨床での試用ができる状態である。 現在、石川県内の透析施設に患者への試用協力を依頼している状況である。 ここまでの経過については、一般社団法人京都府臨床工学技士会会誌に投稿しており、すでに掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、アプリケーションの実用化に向けての検証と普及に向けて以下のとおり計画に沿い進めていく。 1)「災害時透析治療条件管理アプリケーション」の試用(平成28年6月~平成28年12月) (1)研究対象施設で看護師長の助言のもと、透析導入平均年齢65歳を目安に患者10名を選定し、アプリケーションがインストールされた端末を試用するため研究の趣旨・説明を書面および口頭にて実施する。同意の得られた患者及び医療従事者に操作方法についてマニュアルを用いて説明をする。端末試用中は患者、医療従事者共に操作画面や操作方法に対する意見や感想を聞き改良へのヒントを得る。操作方法に対する不明点は、研究者と連絡が取れる体制を作る。(2)研究者自身が月1回ペースで透析施設へ訪問し、患者や関係医療者へ聞き取り把握する。患者の情報入力の状況、外出時の端末の持ち出し状況、医療従事者との管理状況を確認する。 2) アプリケーションの普及(平成29年1月~平成29年3月) (1)前述の臨床調査よりアプリケーションの画面や操作方法について最終調整を図る。(2)androidより誰もが入手できる環境を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アプリケーションソフトの制作について今年度3月末には納品、支払い完了予定であったが、仕様や構成などの打ち合わせに時間を要した。 その結果、当初予定より1ヶ月遅延し、4月末の納品・完成となった。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに、アプリケーションソフトは完成しており、臨床試用できる状態で4月末に納品された。また、支払いも5月16日に完了している。
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