平成27年10月から12月に療養型病床で日常的におむつを装着し排尿管理を受けている、65歳以上の寝たきり女性を対象とし、対象施設で実施されているおむつ装着方法(介入前)と、平成26年度に実施した準実験研究で快適性を検証したおむつ装着技術による方法(介入後)を比較した。評価項目は、排尿量と尿漏れの有無、尿取りパッドの吸収量と尿の逆戻り量、大転子部/仙骨部の皮膚生理機能(角質水分量、経皮水分蒸散量、pH)で、導入後3週間目のデータを介入後データとし統計学的に解析した。実施に際しては、兵庫医療大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。介入方法の導入時は、以下の①から⑤について実施者に対して講義・演習を行った。①おむつと体の中心を合わせる②尿取りパッドは山型にあてる③テープ止めおむつは鼠径部に近い立体ギャザーを把持④左右の手を細やかに動かし立体ギャザーを直接鼠径部に添わす④テープ止めは下下上上の順⑤上のテープは下向きに止める。 その結果、分析対象者は22名(平均82.4歳)で、計測時に尿取りパッドに吸収していた尿量および尿漏れの割合は介入前後で差はなかった。尿取りパッドからの尿の逆戻り量と仙骨部角質水分量は、介入後有意に低下した(0.9vs0.4g P=.012、37.5vs23.6 P=.008)。部位別特徴としては、仙骨部は大転子部よりもTEWLとpHが介入前後とも有意に高かった(介入前TEWL:仙骨部19.2vs大転子部11.2 P=.019、介入後:19.3vs8.6 P=.006)(介入前pH:5.9vs5.0 P=.001、介入後:5.8vs5.3 P=.002)。以上より、鼠径部に近い立体ギャザーを把持することで、尿取りパッドの吸収面を外陰部にフィットさせることができ、尿の逆戻りを減少させ、仙骨部の角質水分量の上昇を有意に抑制した。部位別特徴では、仙骨部は尿との接触により大転子部よりもTEWL/pHともに上昇を認めた。
|