研究課題/領域番号 |
26670950
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
井瀧 千恵子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00285008)
|
研究分担者 |
真里谷 靖 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (20239148)
野戸 結花 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (80250629)
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
對馬 惠 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (90592254)
三上 佳澄 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (40709143)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 抗酸化食品 / 放射線皮膚炎 / 慢性経過 |
研究実績の概要 |
本研究は、がん放射線治療を受けた患者の治療後の放射線皮膚炎と酸化ストレス度d-ROMs(Reactive Oxygen Metabolites-derived compounds)と抗酸化力を示すBAP(biological antioxidant potential)と抗酸化食品摂取の関連を解析し、放射線皮膚炎の慢性的な回復過程を解明すること、抗酸化食品の摂取が放射線皮膚炎の回復過程に効果があるのかを明らかにし、がん放射線治療を受けた患者の慢性経過を追跡することを目的としている。 26年度は、以下の計画のもと実施した。 1.倫理委員会への申請:1)研究開始にあたり、研究課題について倫理委員会に申請し審査を受けた。研究代表者所属の倫理委員会で承認された。2)共同研究契約の締結。3)臨床研究実施施設の倫理委員会へ申請し承認された。 2.乳がん患者の放射線皮膚炎の慢性経過の実態の把握:1)乳がん患者の放射線治療中、治療後の放射線皮膚炎の評価① CTCAE 判定。② 照射野の皮膚表面温度、皮膚水分量、皮膚紅斑、メラニンの測定。サーモグラフィ撮影。2)細胞レベルのダメージの評価① 回復の指標としてd-ROMs、BAP を測定。②超音波エコーで照射野/健側の皮膚厚比を計測。 3.末梢血単核球に対する抗酸化食品摂取の放射線防護効果の解析:健常ボランティアの採血をトマトジュース(リコピン約20mg含有)摂取前、3週間連日のトマトジュース摂取後、その後引き続いての3週間連日トマトジュース非摂取後の計3回行う。血清中酸化ストレス関連マーカー(d-ROMs、BAPなど)および血中カロテノイド濃度と微小核形成試験(MNT)を行う。MNTでは、0Gy(コントロール)、100mGy、0.5Gy、2Gy照射した全血を用いる。放射線照射による酸化ストレスと細胞核損傷について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、当初から倫理委員会の申請と食事調査票の作成を予定していた。倫理委員会申請については計画通りに達成できている。しかし、食事調査票については正確さを追求すると対象者に負担がかかり、介入が完遂されない。簡易で負担のない調査票を作成したが、調査票の有効性を含めて27年度の抗酸化食品を積極的に摂取した結果のデータを収集しながら、修正を行う必要がある。 一方で、抗酸化食品の摂取効果を検討するために、末梢血単核球に対する抗酸化食品摂取の放射線防護効果の解析を研究内容に追加した。解析途中であるが、研究課題を探求するためには重要な研究となる。
|
今後の研究の推進方策 |
倫理委員会から承認を受けた施設のデータ収集を開始する。 1.乳がん術後放射線療法を受けた患者に研究協力を依頼し、データを収集していく。機器を使用したデータ収集については、施設が限定されるため、機器を使用しないデータ、例えばCTCAE 判定やd-ROMs、BAPのみの実施も視野に入れ、研究を進めていく。今後は平成26年度に倫理申請した施設以外の協力が得られるか、他施設の倫理委員会に申請し、協力を要請する予定である。 2.末梢血単核球に対する抗酸化食品摂取の放射線防護効果の解析を継続して行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は放射線治療を受ける患者の酸化ストレス度の実態は調査できているが、学会や研究会を利用して研究打ち合わせを行う機会があり、研究打ち合わせに旅費を使用することがなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
酸化ストレス度の測定は今年度と同様に実施する。トマトジュースの購入、研究参加者へのトマトジュースの送料、データ収集・データ入力のための謝金、研究打ち合わせ、成果報告に使用する予定である。
|