研究課題/領域番号 |
26670960
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
高橋 方子 千葉科学大学, 看護学部, 教授 (80305341)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バリューズヒストリー / デルファイ法 / 終末期医療 / 在宅看護専門看護師 / 訪問看護認定看護師 |
研究実績の概要 |
近年わが国では終末期医療についての関心が高まり、事前指示に賛成する人も増加している。しかし実際には事前指示をしているものは少なく作成には様々な懸念事項があると指摘されている。事前指示に関して米国では、早すぎる意思表明は利用価値が低いことや意思決定のプロセスが不明瞭であるなどの問題点が指摘され、それを補うために終末期医療の意思決定の根拠となる自分の価値観を示すバリューズヒストリーが開発されている。わが国でもバリューズヒストリーを用いることは事前指示を作成したいと考えている人の支援になると推測される。しかし日本人の意思の決定方法は米国人に比して他律的でより情緒的であるとされており、わが国独自のバリューズヒストリーの開発が必要と考えられる。そこで本研究は日本版バリューズヒストリーの開発を目的とした。 方法:本研究はデルファイ法による量的記述的研究とし、郵送法にて質問紙調査を3回実施した。対象は訪問看護認定看護師397人・在宅看護専門看護師21人の合計418人とした。先行研究から抽出した57項目をバリューズヒストリーの調査項目とし、その必要性について「絶対に必須である」を5とし、5段階のリッカート尺度を用いて評価を求めた。また3回目の調査では、評価に加え、自由記述で意見を求めた。コンセンサスの評価基準は4.0(必須である)とした。加えて複数の研究者で自由記述の内容から必要性を検討した。 結果:第1回目調査148名、第2回目調査106名、第3回調査 66名から返信があった。日本版バリューズヒストリーは「最近の自分の健康状態」「病状の悪化が役割や能力に与える影響」「主治医に対する信頼」「医師以外のケアサービスの関わり方の希望」「やり残したことがあると感じていること」「安心できる環境」「病気や障害を持った時や加齢の影響がある時でも安心していられる環境」などの34項目となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画は平成27年度までに訪問看護認定看護師・在宅看護専門看護師を対象としたデルファイ法による3回の調査および看取りを体験した家族を対象とした調査を実施する予定であった。訪問看護認定看護師・在宅看護専門看護師を対象とした調査結果の集計は終了し、H27年度末からH28年度初めにかけて家族を対象とした質問紙調査の実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は日本版バリューズヒストリーを用いて研修会を行う予定であった。しかしH27年度に実施した看取りの経験のある家族を対象とした質問紙調査の回収率が非常に低く、家族の視点での検討が不十分と考えられる。そこでH28年度は看取りの経験をのある家族を対象とした面接調査を行い、質問紙調査の補完をすることにした。
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