研究課題/領域番号 |
26670962
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
井上 正隆 高知県立大学, 看護学部, 講師 (60405537)
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研究分担者 |
大川 宣容 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (10244774)
池田 光徳 高知県立大学, 看護学部, 教授 (70212785)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ケアデザイン / 周手術期看護 / トリガー現象 / シミュレーション法 |
研究実績の概要 |
まず、昨年の課題となった受講生の自己評価の適正化を図る教授法の検討を行った。看護基礎教育分野での応用を目指し、昨年実施した計7回の演習で構成される教育プログラムを再構成し、自己評価の適切化を目的としたチェックシートを開発した。このチェックシートは、受講生の習熟度にあわせ、「痛みの部位を確認している」や「最終の鎮痛剤の使用時間がわかっている」のような準備性や行動を分解し確認する形式(リスト法)と「予測される問題点を挙げる」、「必要な情報を収集する」、「現状を判断する」から成る思考の過程と内容を確認する形式(フローチャート法)の2形式を開発した。 教授法の評価を行い、リスト方式は個々の項目の関連性がわかりにくいことと観察時に使用しにくいことが抽出された。このため、「疼痛」などのクラスターにまとめる形式と観察時の使用の利便性を考慮して人型の周囲にクラスターにした評価項目を配置した形式を修正作成した。【全身の観察が行える】をケアデザインとする際にリスト法を自作できることがトリガー現象になると考える。一方、フローチャート法についての評価では、50%以上の受講生に記入の不備があり、有効な方法ではないと結論付けた。このため、思考の過程と内容の確認には、ケアの一連の流れをイメージできることがトリガー現象になるのではないかと方針を変更し、獲得目標となるケアデザインを有する看護師の視点と思考を模擬体験する映像教材を次の課題として作成することにした。 また、生理学的側面からの緊張の緩和に関する教育効果の評価については、測定が容易で非侵襲的なコルチゾール、クロモグラニンA、αアミラーゼを候補物質として選定した。先行研究の精査の過程で、心理的ストレスを反映しやすいのはクロモグラニンAであることが判明し、今後評価に使用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究ステップ2の「トリガー現象を誘発させる状況再現シミュレーションでの教授方法の開発」については、昨年度の課題であった「自己評価の適正化」と焦点を当てるべきトリガー現象の選定について研究遂行上の大きな前進があった。今年度の研究によって、複雑な観察項目に対する観察ケアに関するケアデザインの獲得については一定の成果があったと考える。一方、観察結果を統合し看護援助に繋げる方策については、研究ステップ3「教育プログラムの実施及び教育効果、評価方法の検討」で引き続き開発を行っていく。 また、学内演習と臨地実習間での教育成果の関連性については、これまで分析を行ってこなかったので、分析を進めるべく研究倫理審査委員会の審査を受け承認を得、来年度研究を行う準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として、教材が複雑化しているので、受講生が何の目的で課題を行っているのかを確認する工程が必要になったと分析している。特に看護基礎教育分野や臨床初年度研修などで継続的に同一テーマを修得していくような形式への応用を考えた場合、重要になると言える。また、受講生が感覚的にわかりやすい教授法の工夫もあわせて必要であり、これに対して教育成果の提示でもある獲得目標となるケアデザインを有する看護師の視点と思考を模擬体験する映像教材が有効に作用すると研究成果から考えており、今後中心的に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、ディブリーフィングと事後課題用に撮影した映像を配布するためのノートパソコンを購入する予定であったが、商用サーバーを用いるか、wifi経由で直接カメラから受講生に映像や画像を配布した方が経済的ではないかと研究過程から考えた。
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次年度使用額の使用計画 |
カメラから直接wifi経由で映像や画像を配信する形式を実施するように変更し、必要な機材を購入するように変更する。
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