研究課題/領域番号 |
26670973
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上別府 圭子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70337856)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 症例研究 / 家族看護 / エンドオブライフケア / グッドプラクティス / チーム医療 |
研究実績の概要 |
1)文献レビューを行った。 2)家族ケア症例研究会を5回実施した。臨床の看護師から症例を呈示してもらい、臨床実践現場の者(多職種)と研究者がともに症例の経過を検討し、特異的なトピックスについて討論を行った。NICU・小児HCU・がん専門病院一般病棟・一般病院緩和ケア病棟における特色あるケアを同定した。 3)症例研究に関するミニレクチャー、執筆指導、セミナーを、学内および日本家族看護学会学術集会において実施、開催した。 4)「中年期以降のHIV陽性者の介護についての意向に関する研究」を実施した。HIV感染症は1996年に導入された抗レトロウイルス療法により、長期予後が期待されるようになった。今後は、国内外で初めてHIV陽性者が高齢となり、要介護者の増加も予想される。HIV陽性者は家族内でも病名の自己開示の困難さを抱えており、法的関係に限らないパートナーシップが多い、単身者が多く子どもがいないことが多いなど、特徴的な家族に関する課題がある。そこで、HIV陽性者が高齢期やエンドオブライフをより良く迎えることができるために、HIV陽性者が高齢となり介護が必要となった場合の意向についての研究を行った。2施設での質問紙調査を計画し、そのうち1施設において調査を終了した。2014年10, 11月に300票の質問紙を配布し、209票の回答を得た。その結果、高齢を迎え要介護状態となったときに、約1/3が在宅、約半数が施設での生活を選択すると回答した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)症例研究は、おおむね順調に進行している。 2)HIV陽性者における調査においては、2施設目の倫理委員会の承認に時間を要している。当該施設倫理委員会から条件付き承認を得、その条件について検討し返答、現在、倫理委員会にて再審査中である。なお条件の主な内容は、個人情報保護の徹底、回答者への心理的負担があると考えられる設問についての修正の提案であり、疾患の社会における現状(差別や偏見)に配慮し、対応策を当該施設と綿密に検討した。
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今後の研究の推進方策 |
1)平成28年度も、計画通り、症例研究を行なっていく予定である 2)引き続き、症例研究の執筆指導を行う。 3)さらに、これまでの症例研究の記録を詳細に分析し、Family Nursing in End of Life Careの体系化を行なっていく。 4)2施設目の倫理審査が通り次第、質問紙を配布する(2015年5~7月見込み)。配布予定票数は100票である。2施設目での質問紙配布・回収を終了後、2施設のデータを統合し、結果の分析、報告書作成および論文執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定であった2施設中1施設での調査実施の遅れに伴い、次年度に使用が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
費目、使用額は当初の予算の通り、調査参加者への謝品等である。
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