研究課題/領域番号 |
26670974
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三隅 順子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 講師 (80282755)
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研究分担者 |
齋藤 良一 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (00581969)
大久保 功子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (20194102)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 母乳 / 食品衛生 |
研究実績の概要 |
仕事を持つ女性が増えているが、保育所の指針により保育所に子どもを預ける際、絞った母乳をいったん完全に冷凍し持参しなければならず、これは母親にとって手間もかかるなど母乳育児の継続が阻害される要因ともなっている。そこで、保育所に子どもを預ける場合でも母乳育児が継続しやすい環境を促進するため、母乳の冷蔵保存での細菌数の変化を追い食品衛生法の基準を満たし得るかどうかを確認する研究を行った。 母乳育児を行っている母親で研究参加に同意の得られた10名から、検体である母乳を手順に則り搾乳してもらった。食品衛生法上規定のある総細菌数、および大腸菌、食中毒を起こすものとして日常的に接触しやすい黄色ブドウ球菌について、特定の培地を用いて観察を行った。日常生活に即した状況を想定し、一般の家庭用冷蔵庫の庫内温度である-4℃で保存しその後1日おきに8日間細菌数の経過を追った。室温(22±4℃)での変化、-20℃保存での変化も比較対照として同じ検体で実験観察を行った。 結果、採取時にはどの検体も食品衛生法の基準を上回る菌数は認められらなった。そして、経過としては、-4℃での保存では、総細菌数は、2日目ではほぼ横ばいであったが、4日目に若干減少し、6日目では横ばい、8日目にさらに減少していた。どの時点においても、採取時以上に数が増加することはなかった。対照とした室温保存では2日目にすでに総細菌数は約10万CFU/mLとなり食品衛生法の規定を超えていた。また、-20℃では、4日目まで冷蔵保存とほぼ同じような経過をたどり、6日目ではさらに減少していた。8日目には6日目より若干増加していたがもともとの数には至らなかった。これらのことから、今回の条件のもとでは、母乳は冷蔵保存においても、-20℃の冷凍保存と同様、8日目まではもともとの細菌数より増加することはなく、食品衛生法上問題となる状況は確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画はかなり時間をかけ綿密に行い、助成金のおかげで実験に必要な機器も購入できた。そのため培養/分析等も確実に行うことができ、また、検査学の専門家の意見ももらい指導も受けながら実験/観察自体も順調に行われたため。目的とした細菌の変化を追うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、この実験の成果発表を行う。また、その成果の補足のため、文献検討を行い、日本における母乳保存に関する根拠と保育所での基準の根拠等を確認し、子どもを預けなければならない母親の母乳保育の促進につながる提言を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外旅費等、その時期のレートにより想定していた金額との差が生じたため。また希望するものがこの金額では購入できず、次年度にまわし割安にて購入した方が経済的であったため。年度をまたいでも問題のない消耗品であるので、次年度に使用したい。
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次年度使用額の使用計画 |
論文投稿準備のための用紙等、必要消耗品の購入。
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