研究課題/領域番号 |
26670985
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
米田 昌代 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (80326082)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 周産期 / グリーフケア / 死産 / 新生児死亡 / 連携システム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は周産期の死(死産・新生児死亡)を経験した母親・家族を社会全体で支える地域連携システムモデル案の有用性を検討することである。 今年度(平成26年度)の目的は平成24年度に全国主要医療施設(産科・NICU)、行政(県保健所・市区町村)、赤ちゃんを亡くされた方の自助グループを対象に退院後のグリーフケアと連携の現状と課題、新たな提案を調査した結果と母性看護学・助産学の研究者のご意見等をふまえ作成した連携モデル案の有用性に対する意見をデルファイ法にて集約することである。デルファイ法とは直接顔を合わせて意見交換することによる社会的に優位な個人影響力を最小限にして意見を凝縮、洗練させる方法である。 研究対象者(パネリスト)として、石川県内周産期の死が起こると考えられる主要病院・クリニック16施設の産科・NICUの医師・看護師長・グリーフケアに中心的に関わっているスタッフ計50名、行政(石川県、県保健所、市町村の母子保健に関わる部署)26機関の母子保健担当課長・保健師計50名、全国の赤ちゃんを亡くした自助グループ14箇所の代表・メンバー計29名を選択し、依頼した。 この内、第1回調査に同意が得られた対象者は医療機関35名(内医師2名)、行政20名、自助グループ23名である。今後、デルファイ法と並行して、石川県こころの健康センター、赤ちゃんの死に多く関わっている葬儀社、臨床心理士に面接調査にて連携に関する意見を聴取し、現在、第2回目のデルファイ調査に向けてデータの整理・分析、送付資料準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成24年度の調査結果に作成した連携システムⅠ案をより洗練されたものにするために、欧米のシステムを現地にて情報収集する予定であったが、日程的な問題と視察先がうまく選択てきず、その計画は実施できていない。しかし、石川県での実情に合わせた連携システムを早急に試行することの方が優先度が高いと考え、欧米の情報は国内でなるべく情報収集することに変更し、母性看護学・助産学の研究者に意見を伺いながら、連携システムを完成させ、デルファイ調査にふみきった次第である。 また、石川県こころの健康センターと臨床心理士、葬儀社の周産期のグリーフケア関与の実態と今後の連携に対する意見については今後、デルファイ法調査と平行して次年度実施予定であり、研究目的の達成度としてはおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は第2回デルファイ調査を実施し、意見を集約し、このモデルの有用性と課題を明らかにしていきたいと考えている。不十分な点はパネラーの意見を参考に修正し、課題に一つずつ取り組みながら、更なるモデル案の吟味を重ねて実験に近づけていきたいと考えている。 その過程の中で今回、前後した国内外の視察等も検討していきたいと考える。 今後はこのモデル案を試行してもらえるように働きかけていくことが課題であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、平成24年度の調査結果に作成した連携システムⅠ案をより洗練されたものにするために、欧米のシステムを現地にて情報収集する予定であったが、日程的な問題と視察先がうまく選択てきず、その計画は実施できていない。 また、国内で地域連携が進んでいる地域への視察費用についても計上していたが、そのような連携が進んでいる地域は現在情報収集できていず、実現できていない。 これらの2点より、旅費等において経費が未使用である。
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次年度使用額の使用計画 |
今後の計画としては、第2回デルファイ法調査に必要な調査費用(質問紙・資料用紙・印刷費、郵送料、交通費、謝金、謝礼の品物代、データ入力・整理のための人件費、面接データ蓄語録作成のための業者委託費)、学会発表ポスター作成費用(ポスター翻訳費用、印刷費)、学会発表参加費・旅費、論文英文翻訳費用、論文投稿費、国内外視察・情報収集費用を考えている。
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