本研究の目的は周産期の死(死産・新生児死亡)を経験した母親・家族を社会全体で支える地域連携システムモデル案の有用性(妥当性)を検討することである。 研究成果の公表として、論文投稿はこれまでの年度に終了しているが、今年度は海外(第31回ICM、カナダ・トロント、6月)と国内(第32回日本助産学会、横浜、3月)で研究の一部を発表した。また、グリーフケアに関する海外での情報を収集するためにオーストラリア・メルボルンで開催されたウィメンズヘルスに関する研修に参加し、今後の研究の発展に役立てた。オーストラリアでのグリーフケアの現状は、医療施設のケアとして大切にしている考え方は同じであるが、地域ではGP(一般家庭医)がまず関わり、必要時、専門の心理カウンセラー紹介したり、ピアサポートに連絡をとっているとのことであり、GPの役割が大きく、日本とのシステムの違いが理解できた。日本ではGPがいないため、研究結果ともあわせて考えると、分娩した医療施設の助産師がキーとなって、継続的に関わっていく必要性が示唆された。 加えて、自らのグリーフケア能力を高めるために、日本グリーフ専門士協会のグリーフカウンセラー上級コースを修了した。上級コースはトラウマを抱えた方への対応等実際の場面で活用できるスキルを学ぶことができた。自らも看護助産教育を担う組織の一員として連携システムの一員であるため、今後、システムの充実に寄与できると考える。 心理の専門家・葬儀社・僧侶に関する追加インタビュー調査に関しては、予算の都合上、実施できなかったため、これまでのデータを整理し、別の研究費で追加実施していく予定である。
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