日本で継承されてきた助産ケアとして、分娩後出血の予防ケアおよび生理学的臍帯結紮について、各々のメカニズム探索とランダム化比較試験に向けてのプレリミナリースタディを行った。文献検討および実態調査により、主要な分娩後出血の予防ケアとしては、子宮の冷罨法があげられた。子宮の冷罨法は、日本において助産師が古くから実施している方法である。そのメカニズムを明らかにするため、17名の産婦を対象に分娩後の子宮収縮活動をトコメーターにて測定した。その結果、分娩第3期から徐々に間隔が広がる規則的な子宮収縮が認められた。また、授乳によって間隔は短くなることも明らかになった。一方、子宮の冷罨法によって収縮の頻度は変わらなかった。このデータを基盤に子宮冷罨法の効果を検証するラインダム化比較試験における介入プロトコルを作成した。生理学的臍帯結紮については、分娩第3期のフィジオロジカルマネジメントの概念分析によりその要素を抽出し、医療介入と考えられる早期結紮と生理学的な結紮、つまり遅延結紮を定義し、アウトカムを明確化した。さらに、助産所における生理学的結紮の方法を観察し、児娩出後の産婦の姿勢、児を置く場所(母親の胸)と保温方法、臍帯結紮までの時間、切断の方法などを介入のプロトコルを作成した。設定した介入プロトコルの実施可能性を検討するためにプレリミナリースタディを行い、修正を加えた。同時に、サンプルサイズの算定も行った。
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