てんかん児の個別性のアレンジが可能なプレパレーション用教材の開発に向けて、看護師の意識下・無意識下にある内容の重みづけを明らかにした。その結果から、看護師が児に対して説明をするために重要であると思う項目、重要であるが難しいと思う項目について明らかにし、それをもとに異分野共同でプレパレーションツールのプロトタイプを作成した。 また、看護師への調査から、現象をより客観的に捉えていくための方略として、てんかん児の親の視点を通じて術前プレパレーションを捉えることが必要であると考え、母親への面接調査を実施した。 M-GTAを用い、分析対象者を「子どもがてんかんの手術を受けたことのある母親」、分析テーマを「わが子がてんかんの手術に向かう母親の思い・葛藤のプロセス」とした。概念とカテゴリーを生成し、その後ストーリーラインを作成した。 対象者は40~50歳代の母親8名で、患児は4~15歳であった。手術経験回数は1~4回であった。概念が17生成され、7つのカテゴリー、が抽出された。本研究の結果から、母親は発作がなくなることを望みながらも、後遺症の懸念があることで、手術代諾という重い意思決定を背負っていた。我々は、看護師は術前プレパレーションを、子どもの不安や恐怖を回避したいという思いで実施することをすでに報告している。今回、母親も同様に、子どもの不安や恐怖を親子間で心を響かせあいながら、回避したい気持ちでいることが明らかとなった。有効な術前のプレパレーションは、子どもの特性を捉え、母親の思いを汲み取り、実施することである。この研究結果を8月に学会発表する。今後は、子ども・親どちらの不安も軽減できるプレパレーションツールを検討していく。
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