本研究は、日本人の死因第3位である肺炎について、その罹患率を低減する看護予防策として、高齢者の生活リズムの調整や社会的機能に着目し、睡眠の質の改善と社会的機能の促進による肺炎予防のための保健指導の効果を明らかにすることを目的とした。 はじめに、地域在住高齢者を対象とした質問紙調査の結果、歯科受診の頻度の低さと長期間の未受診という特徴が認められた。また、インフルエンザワクチンおよび肺炎球菌ワクチンについては、その情報を地域の広報や医療関係者から得ているものの、必ずしもワクチン接種には至っていなかった。さらに、上気道感染に罹患しやすい者においては、基礎疾患数が多い、主観的健康感と口腔関連QOLの低下、うつ傾向、社会的な交流が少ない、直近1年の上気道感染の罹患という特徴が見い出された。そのため、これらの項目に注目する必要性が考えられた。しかし、睡眠の特徴は示されなかったことから、睡眠の質についての検討が課題となった。 次に、機器を用いて睡眠の測定を行った結果、肺炎に罹患した高齢者においては、睡眠潜時が長く、睡眠効率が低いことが認められた。さらに、主観的健康感および口腔関連QOLが低く、日中の活動では、社会的交流と光への曝露の機会が少ないことが示された。また、肺炎予防に推奨されるワクチン接種、日常の手洗いなどの衛生行動は実施していた。これらの事から、肺炎に罹患した高齢者においては、特に、日中の光への曝露と社会的な交流の図り方が生活リズムを整えるうえでの課題と考えられた。
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