研究課題/領域番号 |
26671003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 有紀 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10292616)
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研究分担者 |
大川 浩子 北海道文教大学, 人間科学部, 准教授 (50458155)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ピアサポート / 対話 / Intentional Peer Support / マインドフルネス / 行動制限 / 隔離・拘束 / 精神科 / 開かれた対話 |
研究実績の概要 |
身体拘束や隔離などの行動制限は、患者・医療者双方の心身に多大な負の影響を与える。本研究は、精神科医療機関の支援者が、患者との対話を通じて行動制限を減らす(行動制限をする必要のない環境を作る)ことを最終目標としている。 行動制限を減らす対話には対等な相互関係が重要であり、ピアサポートの関係からこの対話型アプローチを導き出すことが有用であると考えた。本研究の目標は次の3点である。(1)ピアサポートの考え方を取り入れた対話型アプローチとその研修プログラムを開発する。(2)支援職者を対象として対話型アプローチの研修プログラムを実施する。(3)対話型アプローチの研修プログラムの効果を検討する。 二年度目である平成27年度は、初年度に行ったピアサポートの考え方を取り入れた行動制限最小化のための対話型アプローチの研修プログラムの内容を調整し、精神科医療を利用した経験のある方々と、精神医療保健福祉領域で活動する支援者とを対象に研修会を実施し、その参加者を対象として意識の変化を調査することを目的としていた。 本研究が開始されてから、「オープンダイアローグ」というフィンランドでの実践が日本で多く紹介されるようになり、その対話の重視や、不確実性の耐性など、本研究で重視している対話型アプローチとの類似性が見られたため、オープンダイアローグの実践に関しても、研修会の中に取り入れることを試みた。研修会は3日間のプログラムを参加者を公募して2回、そのほか勉強会等を開催した。 また、当事者もスタッフとして関わることにより精神保健サービスを変革していく試みであるリカバリーカレッジの実践が特に英国で急速に広まりつつあることから、英国でのリカバリーカレッジの実践についても調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を行うにあたって多大な協力を得ているIntentional Peer Supportのトレーナーの療養などのため、研修の企画を変更しながら進行しており、研究開始当初に予定していた進行より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度と次年度(平成27年度)に開催されたプログラムを実施した研修会で得られた記録の分析結果を基にプログラム内容を調整し、研修プログラムを実施する。研究参加に同意を得られる者に対し、研修参加後に自身で気付いた意識の変化、患者との関係性の変化、職場での行動の変化の有無を調査する。これらに加えて、調査員と対面での聞き取りに協力すること・そのために調査員から連絡することに承諾を得た者については、インタビュー調査を実施する。 また、対話型アプローチの研修非受講者にも対話型アプローチを紹介するためのウェブサイトと小冊子を作成する。ウェブサイトは、本研究で提案する対話型アプローチとその解説の他に、研修開催の告知、研究成果の公表にも用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研修開催のために重要な役割を担っている研究協力者の不慮の療養のために、計画していた研修会を縮小した結果、支出経費に残額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した助成金と合わせ、翌年の事業計画に使用する予定である。
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