研究課題
本研究は、双生児研究法を用いて人の健康に及ぼす遺伝と環境の影響を検討することを目的としている。他国に類を見ないスピードで高齢化した日本にとって、健康長寿社会形成につながる疾患の発症やそれにかかる要因の研究は喫緊の課題である。また、先進国のみならず途上国においても高齢化の問題が顕在化しつつある現代において、日本のような超高齢社会でありながら、世界で最も平均寿命が長い社会は、今後世界がどのようにして健康長寿社会を形成していくかの鍵を示すことが出来ると大きな関心が寄せられている。しかしながら、これまでの疫学的アプローチでは、健康長寿社会形成の鍵となる疾患の発症やその予防に関して、遺伝と環境双方の影響を受けるものでありながら、遺伝的背景が大きく異なる集団を対象とするため、遺伝的背景を考慮した検討が非常に困難であった。本研究では、大阪大学ツインレジストリに登録している双生児の中から、成人を対象として、郵送調査や対人での調査を行った。横断的な研究と並行して、継続的な協力が得られている対象者からは縦断的なデータの収集を行った。本研究ではこれら国内のデータを用いた解析を行うとともに、そのデータの解析においてフィンランド・ヘルシンキ大学で同様に実施されている成人双生児健康調査をはじめとした海外のデータと合わせて検討した。遺伝背景は人種をまたがって大きく異なるため、ひとつの集団から得られた知見が必ずしも共通するわけではない。そのため、このような知見を国や人種を超えて、データを検討することが非常に重要となってくる。特に、高齢者を多く含む成人双生児を対象とする調査は、世界的にも貴重であるため、当該研究にて収集されたデータが、国内だけでなく、国際的な研究に今後も貢献していけるものである。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Elife
巻: 5 ページ: e20320
10.7554/eLife.20320
Am J Clin Nutr
巻: 104(2) ページ: 371-379
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