研究課題/領域番号 |
26671017
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
千葉 由美 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10313256)
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研究分担者 |
豊田 雅士 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (50392486)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心筋梗塞 / モデルマウス / 再生 / 切片 |
研究実績の概要 |
高齢者において心疾患は死因の最上位にあるが、これはその多くは急性期から慢性期に移行し重症化することで治療の選択肢が限られてしまうことが一因である。 この課題に取り組む研究のためには適切な疾患モデル動物が求められるが、これまでの心筋梗塞モデルは若齢動物を用いたものがほとんどである。そこで適切なモデルを構築し評価していくことを目的とした。まず比較対象となるデータを習得するため若齢心筋梗塞モデルマウスを作成したが、ここでは老齢マウスでの梗塞モデル作成を念頭にした手術負荷を最小限とし再現性のよい手技を試みた。 その結果梗塞2カ月後まで形態的な心肥大が確認されるとともに、マウス生存率を向上させることが可能となった。また、心組織再生の動向をモニターする技術として組織形態学的評価に加え、切片から糖たんぱく質糖鎖のプロファイリングが得られることが示された。現在心筋梗塞後2週、4週、8週(各n=3~5)でこれら技術を用いた評価を検討しており、細胞を切片化し、解析を進めている。 今後は経時的効果を長期評価することを実現するため、超音波検査などの生理学的な評価を用いることを検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋梗塞モデルマウス作成において、負荷を最小限として再現性のよい技術をほぼ確立できた。さらに梗塞後の組織再生の動向をモニターする技術基盤を確立し、いくつかの評価について検討することができた。特に今後、若齢、高齢マウスとの比較やリハビリテーションによる効果を比較する際の実験を進行するのに、重要な技術であるため、技術基盤づくりが進んでいることは一つの成果といえる。 今後生理学的な評価を加えることで、多角的な面で適切な疾患モデルを構築していくとともに、幹細胞移植治療の最適化にむけた細胞生着率向上につながる研究へと進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今回確立した手法を用いて若齢マウスでの梗塞モデルマウスにおける基本データを取得していく。これをもとに老齢マウスによる疾患モデルを作成し、若齢との比較を行っていく。特にモデルマウスの作成後、組織再生の違いを検討するとともに、運動を伴うリハビリテーションによる効果に関する実験を展開したいと考えている。また、細胞移植後の生理学的評価を経時的に行うために、超音波を用いた評価技術を確立するとともに、組織学的評価を行いながら、細胞移植のタイミングや移植法などを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度ということもあり、第一に心筋梗塞モデルマウスを作成する技術基盤を成立する必要性があったことから、形態的評価などを行いながら慎重に進めたので、費用をすべて使用せずに遂行した。また、段階的に組織評価すべき切片を切り出し、糖たんぱく質レベルで評価できるかの検討を先に手がけているため従来の実施計画とは、異なる経過となり、本年度予定から来年度への費用移行すべき部分が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
主任研究者の所属機関においてモデルマウスを作成し、実験を拡充するために、新たな医療機器の購入を検討するとともに、生理学的評価や細胞培養を行うための必要器材や消耗品を購入することに費用をあてる。さらに、評価法確立のために、種類の異なるマウスの追加購入と飼育などを行っていくための費用にあてる予定である。
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