研究課題
高齢者において心疾患は直接死因の最上位にある。重症化した心疾患に対する治療の選択肢の一手段として期待されているのが幹細胞移植による心筋再生治療法の確立であるといえる。そこで、本研究では、この課題に取り組むための疾患モデル動物を作製し、評価することで、ヒトの心疾患病態での幹細胞移植の安全性・有効性の適切性につなげていくことを目指してきた。現在の進捗は、ヒト疾患における適正なモデル動物作製を目指し若齢、老齢マウスに心筋梗塞を作製した。超音波評価等による評価を行ったところ(Sham、心筋梗塞、心筋梗塞+salineで1~4匹/群)、老齢マウスは若齢マウスに比較し、心筋梗塞後の体重の回復は緩やかとなっていた。また、組織学的な検討では、老齢マウスの方が若齢に比べて前壁の拡大が顕著に認められた。現在、本実験で得られたデータを蓄積、解析しているところである。心筋梗塞後の心機能低下や経時的な肉眼的評価においては、梗塞層がほぼ完全に確認されており、超音波評価にて心機能低下(1週間後に左室駆出率の低下)が確認された。施術による生存率は90%以上を保っている。さらに、マウスの個体差や結紮部位はほぼ安定してきており、幹細胞移植実験に向けて準備が着々と進んでいる。一方で、心筋梗塞部位への幹細胞移植のソースとしての幹細胞の樹立・培養に関しては単離、培養ともに順調に開始し、継代が進み、使用細胞が発現してきたのでいったん凍結を行った。現在、疾患モデル動物の作製の検証を進めており、今後は疾患モデルへの移植群を含めて実験を進めていく。
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