医療施設における高齢者看護の質指標候補について既に国内外で発表されている指標やガイドライン、先行研究のレビューを行い、17領域80項目の質指標候補を作成した。17領域は看護師情報5項目、患者情報3項目、包括的アセスメント3項目、意思決定5項目、清潔ケア5項目、口腔ケア5項目、栄養5項目、尿失禁5項目、排便ケア6項目、褥瘡予防5項目、疼痛マネジメント4項目、転倒予防7項目、せん妄4項目、認知症ケア5項目、アドバンス・ケア・プランニング4項目、身体抑制5項目、退院支援4項目であった。これらの質指標の適切性を検討するため、医療施設に勤務する老人看護専門看護師9名を対象に、RAND/UCLA適切性評価法による2回の質問紙調査を行った。1回目評価では中央値7以上の適切が80項目中78項目、4~6の中間が2項目、1~3の不適切は認められなかった。2回目評価についても同様に17領域80項目について評価を行ったところ80項目全てにおいて適切であった。 次いで、高齢者看護の実践状況を明らかにするため、医療施設に勤務する看護師101名を対象に無記名の自記式質問紙調査を行った。対象者の平均年齢は39.5歳、性別は女性が92%、経験年数は平均14.5年であった。看護師情報、患者情報を除く15領域72項目の実践状況について、「1全く行っていない」~「5よく行っている」の5段階で回答を得た。50%以上が実施していた項目は4項目、40%~50%未満は6項目、30%~40%未満は6項目、20%~30%未満は20項目、10%~20%未満23項目、10%未満23項目であった。実施率が高かったのは、患者の清拭を1日1回以上行っている65%、身体拘束を行う場合は文書で同意を得ている61%、低かったのは認知症の中核症状、BPSDのアセスメントを行っている5.2%、非薬物療法による疼痛緩和を行っている6%等であった。
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